「『スーパーシティ』は新たなビジネスチャンスとなるか」(IISIA)
人工知能(AI)やビッグデータなど先端技術を活用した都市「スーパーシティ」構想を実現する、
改正国家戦略特区法が5月 27 日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。
政府としては車の自動運転や遠隔医療などを取り入れたまちづくりを通じて、超高齢社会や人手不足の解消につなげる狙いがある。
スーパーシティ構想は物流、医療、教育などあらゆる分野の先端技術を組み合わせることで、
その相乗効果によって人々が住みやすい街を目指すものだ。具体的には、自動運転やキャッシュレス決済、
ドローンの自動配送、遠隔診療などのサービス提供を想定する。
夢の街の出現に見えなくもないが、懸念材料もある。スーパーシティでは、デジタルで様々な機能がリンクする。
そこでは個人情報がデータ化されやり取りされるのだ。その際に例えば、悪意のある者によって
個人情報を含むデータが盗み取られる可能性がある。
更に言えば、ハッキングを受けて自動運転システムが乗っ取られる可能性もある。
つまり、データをいかに安全に扱うことが出来るかが重要となってくる。さまざまな業種が
スーパーシティ=コネクティッド・シティには参入しているが、例えば現在進行中のもので言えば、
トヨタの「Woven City(ウーブン・シティ)」プロジェクトがある。静岡県裾野市にある広大な
トヨタ工場跡地に計画しているもので、2000人が暮らすことが出来るコネクティッド・シティを目指すという。
2021年初頭にも着工する見込みだ。
スーパーシティ構想において特に注目すべきは、データ・セキュリティを扱う事業者だろう。
デジタル化には常にプライバシーがつきまとうものである。プライバシー保護を制するものがデジタル資本主義の勝者となるだろう。
(株)原田武夫国際戦略情報研究所 羽富宏文
中央大学文学部哲学科卒業。2019年まで日本放送協会(NHK)・
東京メトロポリタンテレビジョン株式会社(TOKYOMX)・
株式会社テレビ神奈川(tvk)に在籍。
各局に在職中は主に報道部門でディレクター・記者としてニュース取材・番組制作に携わる。
2014年からはノンフィクション書籍を定期的に出版。
2019年11月より現職(グローバル・インテリジェンス・ユニット リサーチャー)。
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