誰でも達人になれる

2015/03/23

・プロの機関投資家であれ、アマチュアの個人投資家であれ、誰でも達人になりたいと思う。プロのサッカー選手やプロ野球の選手になるのはなかなか困難だが、投資の達人になるのはさほど難しくない。そのためには、①今までより視野を広げて、世の中に関心を持つようにする、②分からないと諦めたりせず、また、勝手に分かったと思いこんだりしないで、いろいろ比較してみる、そして、③自分なりに判断して、その結果を一喜一憂せず、経験として蓄積していくことにあろう。

・なぜ、株式投資にこだわるのか。それは金融商品の中で株が一番分かり易いからである。しかし、本気で株式投資をやったことのある人は意外に少ない。多くの人は、機会がなかったり、自信もなかったりという。今、現役で働いている人たちは、自分の仕事に忙しく、そんな暇はないかもしれない。仕事柄、会社の内部情報に関わっているので、社内ルールとして株式投資が簡単にはできないという人も多い。自社の持株制度や確定拠出年金で何らかの投資をしていても、必ずしも身近な存在でないこともある。

・しかし、ルールを守った上で株式投資の経験を積んでほしい。そうすると、投資家の気概が分かってくるし、企業家の思いや経営者の見識も養われてくるからである。投資をするには、しっかりした自信を持ちたいと誰でも思う。では、自信を持つにはどうしたらよいか。それは信頼する人を見いだすことにある。

・株式投資は会社に投資するのであるから、その会社が信頼できるかどうかを判断する必要がある、そのためには、社長に会って話を聞いてみることである。大企業の社長には簡単には会えないかもしれないが、大企業でも個人投資家説明会を行っている会社は多い。まずは説明会に出かけて話を聞いてみることである。中堅企業やベンチャー型の上場企業であれば、いろいろな機会がありうる。行ってみると、何か印象に残ることがあろう。それを大事にして、そこを起点にする。

・一度社長の顔が頭に入ると、ウェブを見に行っても、新聞や雑誌で記事を見ても親近感がわいてくる。そうすると、その会社のことが少し分かってくる。社長の話を2度3度と聞いてみると理解が進んでくる。そこで、投資の判断をしてみる。

・会社は複雑である。いろいろなビジネスをやっており、組織も多岐にわたり、多くの人々が働いている。それを理解するのは無理と思うかもしれない。しかし、心配する必要はない。会社のことを理解するために、会社の中身を一生懸命覚えようとしても、それは難しい。会社の話を聞きながら、今回は何が分かったかと、自分に問うていけばよい。覚えたことは忘れるが、分かったことは忘れない。①なるほど、この会社の強みはここにあるのか、②将来の成長の原動力は、これが伸びることだが、それは簡単ではない。③でも、上手くいったら面白そう、④社長はやり遂げると言っている、⑤本当にできそうか、といった具合である。

・しかし、会社の話を鵜呑みにしてはいけない。真面目な会社は、良いことも悪いことも話すかもしれないが、大抵の会社は良いことしかいわない。しかし、それを問題だと思わなくてよい。会社が良さとして強調することは、たぶん企業として自信を持っていることである。時には誇張するかもしれない。私の経験では、稀に嘘をつく会社もある。逆にいうと、会社がふれてこない話題は、その会社の弱みかもしれないと考えておいた方がよい。

・そうすると、会社に課題や弱みがあっても、きちんと手を打っているならば、必ず話の中に出てくるはずである。自分が疑問に思ったことで、会社の話の中に出てこないとすれば、質問してみるとよい。質問は単刀直入に聞くのがよい。立派なマネジメントなら、必ず丁寧に答えてくれるはずである。もし不愉快そうな顔をして、逃げの答えをしたならば、それはそれで重要な情報として受け止めればよい。

・①社長の話す顔色を見て、②話す内容の中身を吟味して、③利益が予想外に変化するかもしれない可能性を考えて、それぞれの視点から自分なりに点数をつけてみるとよい。つまり、1)経営者のマネジメント力、2)事業の成長性・持続性、3)業績変動のリスクを評価していく。こうして点数をつけていくと、だんだん自分の会社を見る目が鍛えられていく。点数がばらついて、いい会社が見えてくると投資が面白くなってくる。まずは基礎を固めるために、説明会に出かけることを実践してほしいと思う。

株式会社日本ベル投資研究所
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