海外企業のバイタリティ
・ZARAは、1975年にスペインで創業した。88年にポルトガルに進出し、その後パリ、NYへと展開してきた。スタートはZARA、1つのブランドであったが、現在は7つのブランドを有している。
・インディテックスのマセイラスCEOは、グループの特徴として、3つを強調した。1つは、いかに素早くファッションのトレンドを掴むか。2つは、フレキシブルかつスピーディーに対応できるか。3つは、各ブランドの中で、いかに自律的に行動できるか。この3つを実践している。
・実験して、失敗しても責めない。ビジネスモデルに、失敗することは組み込まれている。その時はサッサと直して、次に対応していく。作りながら、売っていくという仕組みである。
・ファッションなので、人のインスピレーション(ひらめき)、感性が大事である。同時に、アスピレーション(志)のレベルも高めていく。組織のヒエラルキーは低くして、自分たちでものごと決めていくようにしている。
・自律的な行動をカルチャーとしており、サプライチェーンもフレキシブルである。商品の50%は販売拠点の近くで製造している。よって、キャンペーン中でも、売れ筋をみながら仕入れの変更が可能である。
・市場はボラタイルであるが、そこをいかに密結合にしていくか。今後は、細分化した市場で、さらにシェアを高めていく方針である。そのためにZARAの強みである3つの良さをさらに追求していく、とマセイラス氏は強調した。
・ライドシェアはうまくいくか。GOでタクシーを呼ぶと、ライドシェアの一般車が来ることがある。ドライバーはおじさんのこともあれば、お兄さんのこともある。ドアは自分で開け閉めする必要があるが、ドライバーが降りて対応してくれることもある。GOの仕組みは同じなので、さして不安はないが、何となく落ち着かない。
・ウーバーテクノロジーのモビリティ事業はどうか。同事業のアジア太平洋地域代表のテイラー氏は、10年ほどウーバーで働いており、直近5年間はシドニーにいた。アジア太平洋地域の代表になって、どこを拠点とするか。前任者はシドニーから東京をみていたが、テイラー氏は東京を拠点として、全体をみていくことにした。日本をいかに開拓するか。ここに挑戦すべく東京に居を構えた。
・豪では、ライドシェアはすでに定着している。マンスリーアクティブユーザー数で、ウーバーはトップクラスである。1)価値が分かってもらえている(信頼、安全、値ごろ)、2)ポイントが貯まる、3)2016~17年に政府規制が緩和された、4)ウーバーのブランドが活きている、という点が寄与している。
・価値がドライバーと乗り手にささるか。日本での信頼感は醸成されているか。ウーバーは3分で来るというが、それだけドライバーはいるか。200社と提携しているが、ドライバーに儲けてもらう必要がある。
・オンラインがつながってうまくマッチングできるか。そこで、まず海外からくるインバウンド客をウーバーで掴むことにした。
・タクシーに比べて、1)まずはウーバーを呼ぶというプライオリティを得る、2)GPSでトラッキングしている、3)重大事故が少ない、というサービスのよさと安全性がアピールできるようにする。
・ウーバーはすでにグローバル企業となった。かつてのスタートアップではない。サービスのあり方も、ライドシェア対タクシーではなく、ライドシェア+タクシーで互いのよさを補完している。次は人材を強化して、第3世代のウーバーを目指すとテイラー氏は強調する。
・イノベーションの文化をどのように作っていくか。まず組織の中に、そのスペースを作ることである。そこで、自分らしく働けるか。失敗しても、それが許容され、次につなげることである。
・いわば、うまく失敗することである。成功を求めるが、賭けはしない。決める時の健全性をいかに保つか。早く決めることは大事であるが、決定の質が問われる。
・今は次への移行期である。エレクトロニクス+モビリティ、グリーンシフト、オートノマスが組み合わさって、イノベーションが進む。間もなく自律走行車の時代がくる。
・自動運転で移動は一段と便利で快適になろう。このビジネスモデルをいかに創るか。イーロンマスク氏もここを狙っている。
・日本のライドシェアは、まだライドシェア対タクシーという対立の局面にある。しかし、顧客はタクシーが少なくて困っている。ここを切り拓いていこうとするウーバーに注目したい。
・クライムワークス(Climeworks)は、スイスを本拠地とする企業で、CO2回収を事業とする。CO2ネットゼロに向けて、空気からCO2を回収して、地中に貯留する。このプラントをアイスランドに所有する。
・当社は、回収器(CO2コレクター)で、砂粒にCO2を反応させて除去していく。大気の汚水処理をやろうと発想した。共同CEOのクリストフ・ゲバルト氏は、前の会社(アクアパワー)で、プロジェクトファイナンスを担当していた。同社は、海水の脱塩化(海水淡水化)を主力としていた。
・2009年に当社を起業し、政府には依存せず、民間企業として脱炭素のサービス提供を目指した。現在、150社と連携して、この事業を展開している。
・スイスはローカル市場なので、最初からグローバル市場を目指した。この事業には、1)ローコストのエネルギーが必要、2)CO2を埋める場所が必要、3)政府の規制とサポートが必要、という条件が付く。
・日本もマーケットになりうる。アイスランドと同じように、地熱が利用でき、場所もある。2026年からカーボンクレジットの取引も始まるので、市場も形成されよう。
・まずは、ニッチな市場を攻めて、次につなげていく。そうすれば、トランジションへの道筋がつけられるという考えで、いずれスケーラビリティ(規模の大型化)もありうると、ゲバルト氏はみている。
・昨年の世界経営者会議から、3社を取り上げてみた。ニッチな革新からグローバルへ市場を求めている。まずはニッチな革新でリードできるか。グローバル市場を狙う野心を秘めて、経営力を養っているか。
・ユニクロの柳井社長は、若いころからかなりの変人であった。その個性と論理一貫性に圧倒されたが、屈折点を乗り越えながら、見事に成長を持続させている。次なる経営者に期待したい。
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