ETFの新しい動き

2023/07/17

・ETFを活用している人は多いが、それでも一部に限られている。ETF(上場投資信託:Exchange Traded Funds)は、特定の指数(インデックス)に連動する投資信託で、取引所に上場している。

・上場しているので、取引の自由度が高く、パフォーマンスの動きも分かり易い。株式のインデックスだけでなく、債券、REIT(リート)などもあり、日本だけでなく、海外のインデックスにも広く投資できるようになっている。

・ETFのベネフィット(よさ)は、1)流動性が高く、2)透明性が高く、3)フレキシブルであり、4)オペレーションの効率が高く、5)コスト(フィー)が低いところにある。米国では、ミューチュアルファンド(投信)よりもETFが増加する傾向が続いている。

・米国のS&P500指数は、米国大型株の動向を表す最良の尺度とみられており、米国株式市場の時価総額の約80%、世界の株式市場の時価の約50%を占有する。

・S&P500をトラッキングするETFでは、iShare、バンガード、SPDRが全体の8割を占め、先行するETFがマーケットをリードし、利益を得るしくみとなっている。

・例えば野村アセットマネジメントのETFのラインアップをみると、日本株では、市場別、ESG、高配当、業種別などがある。日々の変動幅がインデックスより大きくなるレバレッジ型では、レバ、インバース(マイナスのレバ)がある。

・先進国株式では、先進国、欧州、米国、米国ESGがある。新興国株式では、エマージングや単一国型がある。他に債券、マルチアセット、リート、コモディティなどがあり、実に多様である。

・ETFはインデックス型なので、パッシブ運用であり、すでに分散が効いている。コストも相対的に安く、少額投資や長期投資に向いている。一方で、マーケット変動の波に乗って運用したい短期投資家にとっても使い勝手がよく、リスクヘッジにも使える。

・ETFは、株式と同じような取引ができ、リアルタイムで市場価格を知ることができる。当然、同じタイプのインデックスなら、規模が大きく流動性が高い方が、値動きがスムーズである。取引コストも比較して適切なものを選べばよい。

・東証のETFは60兆円規模で、283銘柄が上場している。これまでは全てインデックスファンドであったが、パッシブではないアクティブETFも上場できるように準備している。

・ETFの拡大は、JPXの中期戦略の1つの柱である。新型NISAが2024年にスタートすると、ETFにもユーザーの広がりが出てこよう。

・東証上場のETFは昨年末で約60兆円、うち日銀保有が50兆円を占める。日銀は大幅金融緩和に中で、ETFを買ってきた。これによって株式市場を支える効果があった。

・では、日銀が保有する日本株ETFを今後どうするのか。デフレが終わってインフレ型の経済に進むのであれば、ETFへの新しいニーズも高まってこよう。

・インデックスといってもいろいろある。パッシブ運用がアクティブ運用を規模の面では圧倒的に上回っている。市場を代表するインデックスに連動するETFへのニーズは強い。

・一方で、取引所には新しいインデックスをベンチマークとして開発しようという意欲も高い。アクティブETFでは、債券型やバランス型を具体化させる。アクティブであるから、インデックス型ではない。

・アクティブETFとは、アクティブ運用型で、連動対象のインデックスが存在しないETFである。柔軟な商品組成で運用が可能となり、多様なETFが投資家に提供できるようになる。

・世界では、米国を中心にアクティブETFのETF全体に占める比率も昨年で5%強に高まっている。世界の主要ETF市場で、東証のみがアクティブETFの上場が認められていなかった。それが遅ればせながら動き出そうとしている。

・日本市場だけでなく。米国市場、アジア市場などへの分散投資のニーズも一段と高まっている。日本にはない成長分野に投資したいという要請は強い。新型NISAでは、成長投資枠もある。ニーズに対応したインデックスがさらに登場してこよう。

・日本では、短期投資向きのレバレッジのきいたETFに人気がある。しかし、中長期の投資にETFをより活用したい。米国のETFはポートフォリオにかかせないし、アジアのETFも取り入れたい。バリュー型のETFとグロース型のETFにもアロケーションを高めて、的確にバランスとりたい。

・東証の市場区分の変更、PBR 1倍割れへの企業の対応、アクティブETFの展開など、日本株のパフォーマンスは、ここからさらに期待できよう。

・7月からJPXプライム150指数の提供が始まった。エクイティスプレッド(ROE-資本コスト)とPBRを選定基準とする。つまり、この指数は、実績としての資本収益性が高く、それを支える非財務資本が充実して、株式市場で評価されていることを意味する。

・TOPIXに入っている時価総額とのウエイトが異なり、上位でも150銘柄に入らなかった企業がある。上位10位をみると、TOPIXにあるトヨタ、三菱UFJフィナンシャル、三井住友ファイナンスがはずれて東京エレクトロン、KDDI、HOYAが入っている。このインデックスのETFにぜひ投資してみたい。

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