人類は地球環境を守れるか

2022/04/23 <>

・どうも難しそうである。でも、悲観することなく最大限の努力をする必要がある。C.H.ラングミューアーとW.ブロッカーの著書「生命の惑星」に何度も目を通したが、時間とスケールについて考えさせられる。

・1G(ギガ)は109で、1n(ナノ)は10-9である。どちらの単位も今や身近になっている。1年の109は1億年、1mの10-9が1nmでアミノ酸の分子、半導体の回路線幅の目標に相当する。

・人類は知識を積み上げ、宇宙誕生から生命の成り立ちまで、マクロからミクロへ洞察を深めてきた。まだ分からないことも多いが、サイエンスとしての知的探求はますます進もう。ひいては、人類はどのように進化していくのか。

・地球の自然システムは、人類がCO2に影響を及ぼす前から、CO2の増加が温室効果を増大させ、そうすると風化が加速して、石灰岩(CaCO3)が海洋に沈殿し、CO2を減少に向かわせる。こうしたリサイクルのフィードバックが長期で働いている。

・問題は、その期間が何万年とやたら長いことである。今のサイエンスでは、宇宙がビッグバンで生まれてから137億年、太陽が核融合反応として輝き出して46億年とされている。水素、ヘリウムのガスをベースに、炭素、酸素、マグネシウム、ケイ素、鉄など、現在の元素が形成されてきた。

・そこから有機分子が生命の元として生まれた。生物は、炭素、酸素、窒素、リンなどから有機分子を合成し、生命を司る。一方、地殻は動いている。大気、大陸地殻、海洋、海洋地殻、マントルは互いに影響し合って、大きく対流している。その中で、35億年前に生命が誕生し、14億年前に真核細胞が発生した。

・地球は、長期のサーモスタット効果によって、地球の温度を安定的に保ってきた。0℃から100℃という間なので、特定の生物にとっては耐えられないが、一定の環境の中で生物は進化し、適応することができた。

・このサーモスタットを機能させてきたのが、大陸地殻とマントルのテクトニック作用(プレートテクトニクス)である。海の中の堆積物を乗せた海洋地殻が大陸地殻の下にあるマントルに沈み込んでいく。

・大陸は動くし地震も起こるが、CO2などを含む堆積物がマントルの中に飲み込まれて、一定の浄化が進む。このマントルから溶岩がどこかの火山となって、再び地上に現れる。この熱エネルギーの対流が、地球の物理化学サイクルとして働いており、生物の生命を支えている。

・大陸プレートの境界では、場所によって1年に2~16㎝ほど動いている。例えば年に5㎝動くとして、1000万年経つと500㎞も動いてしまう。大陸がこれだけ動くのだから、現在の国境など、どれだけ意味があるのか。

・旧人類が発生して50万年、16万年前に誕生した現人類が王朝の歴史に登場して4000年、産業革命から300年である。現代科学の飛躍はこの100年で、人口もエネルギーの消費もこの100年で急増してきた。人類はあと1万年、10万年もつのであろうか。

・そんな先のことは今の私たちに関係ない、とは言わせたくない。生命は炭素をベースに、水と酸素を必須とする。太陽エネルギーをベースに、人工的な酸素発生型光合成が本格的にできるようになれば、未来はかなり明るい。

・生物の化石は5億年前から残っているが、化石を残した生物のほとんどは現在生きていない。でも進化は営々と続き、ヒトのDNAに痕跡は残されている。

・過去5億年の間に生物の大量絶滅は5回ほど起きており、生物はガラッと入れ替わった。この時の堆積物から作られた石油、石炭、天然ガスを、人類はエネルギー源として活用している。1億年以上かけて作られたものを高々300年で消費してしまう勢いである。

・生物の多様性も、人類は著しく狭めている。人類が増長する中で、他の生物の生存を脅かしている。それが生物の進化のスピードに合っていない。ということは、人類が他の生物の絶滅を招くことになり、そのことがいずれ自らの生存も危うくする。

・地球の自然リサイクルシステムから逃れることはできないが、人類がこのシステムを壊してしまっては身も蓋もない。地球の温暖化を、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)の気候変動報告にあるように、何としても抑え込む必要がある。カーボンニュートラルを早期に実現する必要がある。

・世界に紛争は絶えないとしても、協調して地球のサステナビリティを確保するように邁進していきたい。50年、100年は地球史からみれば超短期である。しかし、その中で我々は自らの一生を終えていくが、次の世代への永続が問われる。何としても英知を活かして、平和的ウェルネスに貢献していきたいものである。

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