インドネシアの金融政策~市場混乱への姿勢と、今後の市場展望

2018/08/16 <>
  1. 政策金利は5.5%、0.25%引き上げでした。通貨安、経常赤字拡大で潜在的インフレ圧力に備えました。
  2. インフレ率達成と通貨安定、適切な経済成長に向け、不安定な要素が残れば追加利上げもあり得ます。
  3. 昨今の市場の混乱が地域的なものと認識されれば、通貨、株価は反発する余地があると考えます。

インフレ抑制優先のスタンス

14-15日、インドネシア銀行(BI、以下、中銀)は定例理事会を開き、政策金利であるBIレートを0.25%引き上げ、5.5%としました。史上最低の4.25%からの利上げはこれで4回目、利上げ幅は1.25%となりました。

今回の利上げの一因として、トルコリラ急落による新興国市場の混乱があると見られます。連鎖的に通貨ルピアが下落し、インフレ圧力が拡大することを未然に抑制するというものです。中銀は、18年のインフレ率は目標レンジ(+3.5±1%)内を見込む一方、実質GDP成長率見通しを前回会合(7月18-19日)時点の+5.1-5.5%から+5.0-5.4%へと小幅下方修正し、インフレ安定優先の姿勢を鮮明にしました。今後も、通貨、インフレについて不安定な要素が残れば追加利上げもあり得ると考えます。

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前倒しの対応は将来的に市場にプラス

また、国内経済の面では、好調な内需を背景に輸入が堅調で、経常赤字拡大がインフレ圧力を高めるリスクを抑える必要性が増したといえます。4-6月期の経常収支は対GDP比-3.0%と、約4年ぶりの高い赤字水準に達し、通貨、経済に対する国際的な信任を維持するため、敢えて内需を抑制する必要が生じたものと推察されます。

ルピアは昨年末から対ドルで-7.3%、主要株価指数のJCI指数は-9.0%といずれも調整局面にあります。しかし、インフレ率自体はまだ安定しており、前倒し的な利上げは、将来的に通貨や株価の相対的な優位につながると考えます。景気自体は堅調であり、企業業績は依然好調なことから、市場の混乱が地域的なものと認識されれば、通貨、株価の反発余地はあると考えます。

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