ブラジル、7会合連続の利下げ~レアル相場の方向性は?
- ブラジル中央銀行(以下、中銀)が政策金利を9.25%に引き下げました。市場予想通りです。
- 11年ぶり低水準のインフレ急減速を受け、3回連続1.00%利下げ、4年ぶりの政策金利1ケタです。
- 政治的リスクが引き続き通貨レアルの下落要因ですが、景気回復期待に下支えされると思われます。
インフレ急減速を受け、大幅利下げ継続
25-26日Copom※が開かれ、政策金利のSELIC◇金利が10.25%から9.25%へと7会合連続、全会一致で引き下げられました。物価急減速や、政局混乱で低迷する景況感を受け、3回連続の1.00%の大幅利下げで、景気を下支えする意向です。
7日に発表された6月CPIは、ウェイトの6割を占める食品、住居、交通が下落し、前月比は-0.23%と、06年6月以来、11年ぶりのデフレとなりました。前年同期比でも+3.00%と、中銀のインフレ目標下限を付け、市場では1.00%の利下げ期待が高まっていました。また、6月末には14年ぶりに、年間インフレ率目標値を引き下げており(19、20年それぞれ4.25、4.00%)、中銀総裁は、「より長期の物価目標設定が、金利引き下げに資する。」と、高インフレ体質脱却へと取り組む姿勢を示す一方、政府自身も構造改革を通じで積極的に関与する必要があると警告しました。
テメル大統領が、大手食肉会社からの収賄容疑、与党議員の贈収賄工作への関与や捜査妨害など、複数の容疑をかけられるなど、政局混乱の収束のメドはたっていません。求心力が低下する中、支持獲得のため、テメル大統領が財政支出削減を緩めるとの現地報道を市場は嫌気し、レアルは対ドルで軟調に推移するなど、政治的リスクが最大のリスク要因となっています。
※Copom(Comitê de Política Monetária):金融政策委員会 ◇SELIC(Sistema Especial de Liquidação e Custódia):決済・預託特別システム
財政健全化計画
構造改革の柱である、年金改革法案成立の困難は、レアルの重しとなるものの、政府は20日、歳出凍結の拡大と増税を発表し、財政健全化に真に取り組み姿勢を示しています。また、鉄鉱石や金などの鉱物資源のロイヤリティの上方改定も発表され、政府の収入増加も見込まれます。大幅な利下げサイクルの継続は、3年越しの景気後退脱却からの期待の後押しとなり、レアルにとっては追い風になることが考えられます。
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