英国の17年4-6月期GDP速報~今後の景気とポンド相場は?
- 実質GDP成長率は前期比年率+1.2%でした。1-3月期から回復も、年前半では大きく減速しました。
- 16年後半以来のポンド安効果は剥落し、低い賃金の伸びから好調な個人消費も増勢一服です。
- 過度なポンド安は改善される一方、金融緩和は維持され、対ユーロでは弱めの展開が見込まれます。
年後半も年率+1%程度の成長か
26日、ONS(英国家統計局)が発表した17年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.2%でした。1-3月期(同+0.9%)から小幅回復しました。サービス業が持ち直した一方、製造業、建設業などが後退し、業種別にはプラスマイナスが交錯する展開でした。
IMF(国際通貨基金)は、世界経済見通しのアップデート版を23日に発表し、英国の17年の成長率見通しを、4月時点の+2.0%から+1.7%へ下方修正しました。年明け後の経済活動の鈍化が反映されました。また、アムンディでは+1.5%と予想しています。EU(欧州連合)からの離脱を選択した16年6月以来の、ポンド安による景気刺激効果はほぼ剥落し、低い賃金の伸びから、これまで堅調であった個人消費も増勢が一服しています(前期比では1-3月より改善)。年前半は年率+1%程度の成長でしたが、後半も同程度の成長ペースになると見込んでいます。
「EU離脱の逆風」は一巡
英ポンド相場は、年初以来、対ドルでは堅調に推移し、足元では1ポンド1.3ドル台に上昇しています。EUとの交渉は6月19日に始まったものの、先行きは不透明なままであり、ポンドには逆風ですが、これまでにEU離脱のマイナス面が先行して織り込まれた分、ポンドは底堅くなっていると見られます。
英国では、インフレ率の上昇から一時利上げが取り沙汰されましたが、景気減速から利上げは時期尚早との見方が現時点では優勢です。一方、ユーロ圏はECB(欧州中央銀行)が年明け後にも金融緩和を縮小するとの見方が強まっています。景気や金融政策の方向性の違いから、対ユーロでは弱めの展開が続くと見込まれます。日本は金融緩和長期化の点では類似し、対円相場はもみ合う展開が考えられます。
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