テメル大統領に汚職隠ぺい疑惑~ブラジル市場の行方は?
2017/05/22
<投資信託>
- 17日、現地紙が汚職事件の隠ぺいをテメル大統領が指示したかのような音声の内容を公表しました。
- 大統領辞任の可能性が高まったとして18日のブラジル市場は混乱、通貨レアル、株価が急落しました。
- 改革の遅れが懸念されますが、景気回復方向は変わらず、中長期的に市場は持ち直すと思われます。
司法取引の材料が外部流出
テメル大統領が、汚職事件の隠ぺいを指示したとの疑惑が持ち上がり、ブラジル市場が混乱しています。これは、食肉会社の表示偽装に係る汚職事件で、逮捕された幹部が司法取引として提出した音声ファイルが流出し、17日に現地紙がその内容を報じたものです。食肉会社の会長が、「同事件で逮捕されたクーニャ元下院議長に、司法取引に応じなければ金銭を提供する」旨、テメル大統領に提案し、大統領がそれで進めるように指示したかのように発言したとされています。
政治情勢に方向性が出れば相場は持ち直しへ
これを受けた18日のブラジル市場では、レアル、株価が急落しました。同日の値動きは、レアルの対ドル相場が7.3%、対円相場が6.5%(いずれもNY終値)、代表的な株価指数のボベスパ指数は8.8%下落しました。週末19日は幾分戻しましたが、混乱冷めやらぬ状況です。
今後のシナリオとしては、①大統領が辞任しないまま弾劾訴追されて改革が進まなくなる、②大統領が辞任して議会が新大統領を選出、改革を推し進める、などが考えられます。現在進められている財政健全化を進捗させるためには②が理想的ですが、大統領は今のところ辞任を否定しており、市場は当面、改革の遅れを懸念して警戒的にならざるを得ないでしょう。
今回の市場混乱には、世界的な景気底上げの流れで、インフレ沈静化と利下げによる景気刺激効果が期待されるブラジルに投資資金が集まっていたことに対する反動も含まれていると見られ、ブラジル経済が回復方向にあることに変わりはありません。したがって、大統領の弾劾訴追、辞任、いずれにしても事態が一定の方向に動き出せば、政治リスクは織り込まれたとして、市場の目は経済に戻り、相場は持ち直しに転じると思われます。
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