3月の雇用統計について(米国)

2017/04/10 <>
  1. 非農業部門雇用者数は前月比+9.8万人でした。一部業種の増加ペースが大きく減速しました。
  2. 失業率は4.5%と約10年ぶりの低水準でした。労働市場における需給ひっ迫が進んでいます。
  3. 賃金の伸びは今後さらに高まる公算が大きく、インフレ率を押し上げていくと期待されます。

失業率低下の方が正しい?

7日、米労働省が発表した3月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+9.8万人、失業率は同-0.2ポイントの4.5%でした。雇用の増加幅は16年5月以来の10万人割れとなる一方、失業率は07年4月以来、約10年ぶりの低水準でした。

雇用の増加幅が大きく縮小したのは、主に建設業、教育・ヘルスケアサービスなどの一部業種の増加が大きく減速したことが要因です。ただし、景気減速の発端かどうかを判断するにはもう1、2回データを確認する必要がありそうです。同統計は年に1回程度、増加幅が大きく縮小する局面があったため、一時的な動きの可能性があります。一方、失業率の低下は、就業者数の大幅増加と失業者数の大幅減少が重なったためです。労働市場における需給のひっ迫感がさらに強まっていると見られます。

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コアインフレ率も+2%を目指す動きへ

また、民間企業の時間当たり賃金は前年同月比+2.7%でした。2月からは0.1ポイント減速したものの、労働需給ひっ迫で加速する方向は変わらないと思われます。

インフレ率も賃金伸び率の上昇に沿った動きをしています。PCE価格指数(前年同月比)は、総合指数は2月で+2.1%と12年2月以来、約5年ぶりに+2%台に乗せたものの、エネルギー価格の上昇が影響しています。ただし、トレンドを見るのに適していると割れるコア指数は同+1.8%と、徐々にプラス幅を拡大させています。労働需給のひっ迫度合いが増す中で、今後、賃金伸び率が押し上げられていく方向は変わらず、インフレ率もコアで+2%台に達するのも遠くないと思われます。

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