12月の雇用統計について(米国)
2017/01/10
<投資信託>
- 非農業部門雇用者数は前月比+15.6万人と安定した増加、失業率は4.7%と低水準を維持しています。
- 完全雇用に近く、雇用増加のペースは鈍化するものの、賃金上昇圧力の強まる展開が予想されます。
- インフレ率の目標に相当する賃金の伸びは+3%半ば以上と見られ、年後半には到達しそうです。
労働市場への参入増加で失業率小幅上昇
1月6日、米労働省が発表した12月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+15.6万人、失業率は前月比+0.1ポイントの4.7%でした。雇用の増加ペースは11月から鈍化、小売、人材派遣、レジャー・接客等の業種の増勢鈍化が影響しました。11月に好調だった反動という面がありますが、失業率が5%を大きく下回り、完全雇用に近い状態になる中、景気循環的要素の強い業種での雇用増加のペース鈍化が目立つ形となりました。
ただし、あくまでも景気拡大が続く中での一時的なもので、現状程度の安定した雇用増加は当面続くと予想されます。今回、失業率は上昇しましたが、労働力人口※増加と失業者数増加が重なっており、良好な雇用環境を背景に、新たに職探しを始めた人が増加したことによるものと見られます。
堅調な賃金がインフレ率を引っ張り上げる展開へ
民間企業の時間当たり賃金は前月比+0.4%、前年同月比では+2.9%と年間で最高となりました。
賃金の伸び加速にやや遅れて、インフレ率がその一部分を埋める形で上昇していく傾向が、90年代以降認められます。前回の景気拡大期(01~07年)では、インフレ率が+2%台前半、賃金は前年同月比+4%前後という関係が数年続きました。この関係が変わらないならば、インフレ目標達成に相当する賃金の伸びは前年同月比+3%台半ば以上と見られます。現在の雇用増加ペースが維持されれば、年後半にもそのレベルに達し、インフレ率が目標以上に引っ張り上げられる展開になることが期待されます。
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