南アフリカGDP速報と金融政策、ランド相場の展望
- 7-9月期実質GDP成長率は前年同期比は+0.7%で変わらず、前期比年率は+0.2%と減速しました。
- GDPの12%強占める製造業の前期からの反動減が大きく、GDPの最大のマイナス寄与となりました。
- 不人気なズマ大統領の続投で急落するなど、通貨ランドは当面は神経質な展開が続くと思われます。
製造業が急減速
12月6日、南アフリカ統計局が発表した16年7-9月期の実質GDP成長率は、前年同期比+0.7%となり、前期と変わりませんでした。前期比年率では+0.2%となり、上方修正された4-6月期の+3.5%から急減速しました。
業種別の内訳を見ると、鉄鉱石増産を背景に鉱業・採石業が前期比年率+5.1%と好調で、+0.4ポイントの最大寄与となる一方、GDPの12%強を占める製造業が同+8.1%から-3.2%と減速し、-0.4ポイントの最大のマイナス寄与となりました。製造業減速の要因は、賃上げ交渉ストライキに備え、4-6月期に前倒しで増産していた反動もあるものの、農業、貿易など広範囲で軒並み減速しており、16年GDP成長率はマイナス成長となった09年以来の低い伸び率となりそうです。中銀は16、17年の成長率を+0.4%、+1.2%と予想しています。12月2日、大手格付け会社のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ社)は、南アフリカの外貨建て長期債務格付けをBBB-(見通しはネガティブ)で据え置き、政治混乱が財政再建取り組みに支障をきたしていると警告しましたが、投資不適格級への格下げ回避を市場は好感し、ランドは対ドルで反発しました。
内外のリスク
ランドは、さまざまな汚職疑惑で支持率の低いズマ大統領の退陣見通し後退を受け急落するなど、依然政治不安が重くのしかかります。さらに、トランプ次期米大統領誕生を受けた、米金利先高観により、他の新興国通貨同様、ランドも不安定な相場が続いています。
当面は、内外の要因から神経質な展開が続くと思われますが、落ち着きを取り戻せば、商品市況の回復や、政府主導の中国経済持ち直しなどを背景に、ランドが強含む可能性も考えられます。
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