ECB理事会~ユーロ圏経済は緩和縮小を受け入れられるか?

2016/10/21 <>
  1. 各種政策金利、資金供給手段を前回の会合から据え置きました。引き続き政策効果を見極めます。
  2. 現時点では資産購入額減額の考えはなく、次回会合で実施期間が半年程度延長される公算大です。
  3. 雇用・物価環境に照らすと、緩和を縮小させるほど改善していないのが現状と思われます。

半年延長、購入ルールに何らかの変更も

10月20日、ECB(欧州中央銀行)が定例理事会を実施し、各種政策金利と資金供給手段は現行で据え置かれました。

資産購入プログラム(APP)に基づく4~9月の各種資産購入実績は月平均で787億ユーロと、月間800億ユーロの目標をほぼ達成しています。また、TLTROⅡは累積で約4400億ユーロとまずまずの規模です。現時点で、ECBは資産購入ペースを減額する考えはなく、次回会合(12月8日)では、実施期間を半年間、17年9月まで延長する可能性が高いと見込まれます。また、これまでECBへの出資比率で各国中央銀行の購入額を割り振っていましたが、より購入しやすくするためにルールが変更される可能性もあります。

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失業率10%割れが最低条件?

ところで、ユーロ圏経済は、現行の量的緩和政策を縮小できるほど良くなっているのでしょうか?ECBが掲げる年+2%弱のインフレ目標に対し、9月のCPIは総合指数が前年同月比+0.4%、コア指数でも+0.8%と大きく下回っています。

インフレ目標達成のためには、景気を良くし、失業率を下げることが必要と考えられます。失業率とインフレ率は逆に動く傾向があるためです。双方の関係から計算すると、CPIコア指数が+2%に達するには失業率8%割れ、+1%台前半ならば10%割れが条件と計算されます。ユーロ圏各国の政府は、雇用環境のさらなる改善を目指し、景気刺激のための方策を考えることも必要かと思われます。

201610216

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