8月のISM景気指数は予想外の急低下
- PMIは前月比-3.2ポイント、NMIは同-4.1ポイントと、双方とも予想外の急低下でした。
- どちらも生産(企業活動)指数、新規受注指数が大幅に低下しており、景気減速懸念を強めるものです。
- 早期利上げの可能性は後退しましたが、良好な雇用環境等を考慮すると一時的とも考えられます。
NMIは前回景気後退期での低下幅に匹敵
ISM(全米供給管理協会)は、1日にPMIを、6日にNMIを発表しました。PMIは前月比-3.2ポイントの49.4と6カ月ぶりに景況感の好悪の境目である50を割り込みました。また、NMIは同-4.1ポイントの51.4と、10年2月以来の低水準でした。前月比の低下幅も08年11月以来の大きさで、リーマン・ショック(08年9月)前後の景気後退期並みの下落でした。
構成指標はPMI、NMI共に生産(NMIは企業活動)指数、新規受注指数が大幅に低下しており、足元と当面の企業生産活動の鈍化を示唆するものです。納品指数、在庫指数は小動きであり、大規模な在庫調整を示唆するものではありませんが、雇用指数は小幅に低下し、8月雇用統計での雇用増加ペース鈍化と整合的です。
生産高のウエイトで加重平均した指数は51.0と依然50超えで、企業活動全般が縮小に転じたわけではありません。ただし、実質GDP成長率との関係で見ると、年率+1%台の低成長を示唆するものです。
年内利上げの見方は維持
NMIの業種別業況判断を見ると、各種サービス業は総じて良好だったものの、卸売、小売、娯楽といった個人消費に関連する業種はすべて×(悪い)となっており、個人消費にかげりが出てきたと見ることもできるでしょう。しかし、平均的に見て月当たり15~20万人のペースで雇用が増加していることを考えると、今回の動きは一時的とも考えられます。
ISMの景況感指数が製造業、非製造業共に弱かったことを受け、9月20-21日に控えるFOMC(米連邦公開市場委員会)で、利上げが実施される可能性はさらに後退したと見られます。しかし、個人消費など内需を中心に緩やかに景気が拡大するという認識は変わらず、年末に利上げが実施されるという見方は維持しています。
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