8月の米国雇用統計と今後の金融政策

2016/09/05 <>
  1. 非農業部門雇用者数は前月比+15.1万人と伸びが鈍化しましたが、着実な増勢は続いています。
  2. 賃金は前年同月比+2.4%。製造業、企業向けサービスの鈍化で5カ月ぶりの+2%台前半です。
  3. 早期利上げの可能性は後退しましたが、米国経済の底堅さ変わらず、年内利上げの公算は大です。

季節要因の下振れという面もあり一時的か

9月2日、米労働省が発表した8月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+15.1万人と、2カ月続いた+20万人超からやや減速しましたが、着実な雇用増大傾向は維持しました。

減速の要因は、①自動車産業のレイオフ(一時解雇)が多めで、製造業が前月比-1.4万人となったこと、②人材派遣業が3カ月ぶりにマイナスに転じ、企業向けサービスが同+0.2万人と7月の同+4.4万人から大幅に減速したこと、③地方の教育機関職員を中心に、政府部門のプラス幅が半減したこと(7月:同+5.0万人→8月:同+2.5万人)などです。うち、①と③は季節的な動きが下振れした結果と見られ、一時的と思われます。人材派遣業の雇用者数伸び悩みは、雇用環境が十分に改善したことを示唆する動きともいえます。

9.5①

 

どちらに転んでもおかしくない状況

民間の時間当たり賃金は、前年同月比+2.4%と5カ月ぶりに+2%台前半に鈍化しました。製造業、企業向けサービスの伸び鈍化が比較的大きく、全体を押し下げたと見られます。

 

インフレ圧力はやや和らぎ、9月20-21日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げされる可能性はやや後退したと思われます。ただし、過去の利上げ判断は、雇用については十分な環境改善を確認した後になる一方、インフレについては「フォワード・ルッキング(展望)」で判断するケースが多く、どちらに転んでもおかしくない状況です。アムンディでは、いずれにしても年内に利上げが実施される公算は大きいと予想しています。

 

9.5.②

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