トルコでのクーデター失敗とトルコリラへの影響について

2016/07/19
  1. 現地715日、トルコ軍の一部がクーデターを試みましたが、失敗に終わりました。
  2. トルコリラ(以下、リラ)は一時急落しましたが、足元では落ち着きを取り戻しつつあります。
  3. 政治リスク増大は通貨にマイナスですが、事態は収拾しつつあると見られ、情勢を見守りたいところです。

エルドアン政権の強権化で内部対立激化?

現地7月15日、トルコ軍の一部がクーデターを試み、一時「実権を掌握した」との宣言もなされましたが、一般国民の抵抗や治安部隊との交戦後鎮圧され、失敗に終わりました。報道では、数千人の軍関係者などが拘束されたと伝えられています。

現在のところ、まだ情報が錯綜しており、真実は明らかにされていません。一部の報道では、政権強化を目指すエルドアン大統領と、イスラム教の道徳を基礎とした市民運動といわれる「ギュレン運動」を支持する一部勢力(ギュレニストと呼ばれている)との対立が激化していたことが、今回のクーデターの引き金になったとの見方があります。

短期的な動きにとどまると見られるが当面は情勢注視

クーデター発生の報を受けてリラは急落、5月以来の1ドル3リラ超えとなりましたが、失敗に終わったことで3リラを割り込んでいます。対円では一時1リラ35円を割り込みましたが、足元は35円台半ばに戻しています。

国内に武力対立が起きるほど政治リスクが増大していることは、本来その国の通貨にはマイナスです。目先はまだきな臭い状況が続かざるを得ず、相場が急変する可能性を否定できません。しかし、事態は収拾しつつあると見られ、市場の沈静化を見据える方向で情勢を見守りたいところです。

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※ギュレン運動:フェトフッラー・ギュレン氏(イスラム教指導者・作家)の思想に共鳴する人々が行っている社会運動。人道支援や教育やトルコ文化の普及などを行っているが、政治活動で宗教色が濃いとされ、トルコが国是とする世俗主義に反するとして批判されているとも言われている。トルコ国内では、エルドアン支持者と勢力を二分していると見られている。

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