インドネシア金融政策(11月)~今後の景気と市場展望
- 政策金利を4ヵ月ぶりに引き下げ(0.25%)、3.75%としました。回復が遅れる景気情勢に対応しました。
- 「大規模社会制限」が長期化し、景気は最悪期を脱したものの、年内の回復は限定的と見込まれます。
- 市場は政治リスク後退で株価、通貨共に上昇していますが、コロナ対策の影響を受けやすいと考えます。
経済活動の制限長引く
インドネシア銀行(Bank Indonesia〔BI〕、以下、中銀)は、18-19日の定例理事会で、政策金利(BIレート:7日レポ金利)、を0.25%引き下げ、3.75%としました。
インドネシア経済は、2020年7-9月期の実質GDPが前年同期比-3.5%と、力強い回復とはなりませんでした。新型コロナの感染拡大防止のために実施している「社会的大規模制限」が長期化しており、年内の景気回復も限定的と見込まれます。インフレ率(CPI:消費者物価指数)も前年同月比+1%台半ばと、インフレ目標(+3±1%)の下限を下回っています。中銀は、政府の景気対策と金融政策の相乗効果を強化するとしており、追加利下げの可能性も否定していません。
現在の「社会的大規模制限」は、「健康的で安全、生産的な社会に向けた移行期」にあり、業態、施設等に応じて業容が25~50%に制限されます。10月11日から移行期に入っていますが、現時点では11月22日まで延長され、事態に変化がなければ12月6日まで延長される見込みです。
一段高も先行き楽観できず
米大統領選挙を通過し、大きな政治リスクがひとまず剥落したこともあり、株価、インドネシアルピア(以下、ルピア)相場共に一段高となりました。11月19日現在、JCI指数は10月末比+9.1%、ルピア相場(対円)は約+2.4%となっています。
政治リスク後退を受け、新興国への投資資金流入が増加する可能性が高まっており、株価、ルピア相場は、目先は底堅く推移する公算が大きいと思われます。ただし、国内では経済活動の制限がさらに緩和される状況にはなっておらず、加えて欧米での新型コロナ感染再拡大で、先進国経済も年末年始の景気回復に黄信号が灯っています。市場のリスク警戒が再び強まる可能性もあり、新型コロナの感染状況に振らされやすいと考えます。
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