南アフリカ経済動向(2020年4-6月期GDP)~為替相場展望
- 実質GDPは前期比年率-52.3%でした。新型コロナ感染防止のための経済活動抑制が直撃しました。
- 5月以降、個人消費、企業生産は回復に転じており、7-9月期は大幅なプラス成長が予想されます。
- ランド相場は、低金利などのマイナス要因に対し、リスク許容度の改善などが下支えすると考えます。
コロナ前への回復は3年後
9月8日、南アフリカ(南ア)統計局が発表した2020年4-6月期の実質GDP(支出ベース)は、前期比年率-52.3%(前年同期比-17.7%)でした。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、3月27日~4月30日に「ナショナル・ロックダウン(全土封鎖)」が実施され、個人消費を中心に経済活動抑制が経済を直撃しました。
経済活動の制限は、5月以降、段階的に緩和されてきました。新型コロナウイルスの新規感染は7月中旬、同感染症による死亡は8月上旬にピークアウトし、ラマポーザ大統領は8月15日、経済活動の制限のほぼ全面的な緩和を表明しました。国外との往来は今も原則禁止ですが、国内では州際の移動も可能となりました。小売売上高や製造業生産などのハードデータ(実際の経済活動を示す経済指標)は、4月に急減したものの5月以降は回復に転じており、7-9月期は大幅なプラス成長が予想されます。
南ア準備銀行(SARB)は、7月に発表した経済見通しで、2020年の実質GDP成長率を-7.3%と大幅なマイナス成長、2021年は+3.7%、2022年は+2.8%と回復すると予想しました。これによると、コロナ前の経済規模を取り戻すのは2023年となる計算です。
プラスマイナス両材料が拮抗
南アフリカランド(以下、ランド)相場は、経済活動再開や堅調な商品市況を背景に、4月末ごろを底に反発した後、足元まで1ランド6~6.5円を中心としたレンジ相場となっています。
政策金利が3.5%まで引き下げられ、追加利下げの可能性も残る中、金利面でのランドの投資妙味は落ちた感があります。米中対立など、くすぶる地政学的リスクも懸念材料です。一方、世界的に景気がリバウンドしつつある中で、市場のリスク許容度が改善しており、ランドへの投資資金の回帰が期待されます。好調な商品市況も追い風で、当面は好悪双方の要因が拮抗する環境が見込まれます。
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