トルコ経済の現状(2020年1-3月期GDP)~今後の為替相場展望
- 実質GDPは前期比+0.6%と減速しました。内需が底堅い一方、輸入減少で在庫が大幅に減少しました。
- 4-6月期は厳しい景気後退が避けられませんが、年後半に下げ止まりから回復に転じると予想されます。
- 欧米等の経済活動再開を受けてリスク回避傾向が緩和され、リラは目先、小康状態と見込まれます。
景気は今が最悪期?
5月29日、トルコ統計局が発表した2020年1-3月期の実質GDPは前期比+0.6%でした。景気回復の流れを引き継ぎ、プラス圏を維持したものの、欧州で経済活動を抑制する動きが本格化したことが影響し、2019年10-12月期から大幅に減速しました。減速の要因は在庫投資の減少です。欧州、アジア(主に中国)からの輸入減少が影響しました。トルコでは3月に小売、生産が大きく減少しましたが、それ以前は底堅く、1-3月期は個人消費、設備投資等の内需は総じて堅調でした。
4-6月期は厳しい景気後退が避けられません。外出規制が強化された4月は消費、生産がさらに落ち込むほか、入国が制限された影響で外国人観光客数が激減。4月は前年同月比-67.8%、5月は同-99.3%という惨状です。企業の景況感も大幅に悪化し、5月の製造業PMIは33.4とリーマンショック時以来の低水準でした。一方、5月中旬以降、欧州が経済活動を再開し始めたことが下支えとなり、7-9月期には景気が下げ止まり、年末に向けて持ち直す展開が予想されます。
経済大国の経済活動再開が下支え
市場は一時強いリスク回避的な動きとなり、新興国通貨は押し並べて下落、トルコリラ(以下、リラ)は5月上旬に1ドル7.2リラ近辺、1リラ14円台後半まで下落しました。現在はそれぞれ6.8リラ台前半、15円台後半に戻しています。
リラ相場の持ち直しは、中国、欧米、日本と、経済大国が相次いで経済活動を再開し始めたことの影響が大きいと見られます。これまでリスク回避一辺倒であった市場参加者のマインドが改善し、新興国に見直しが入ったと見られます。景気回復の道のりは、新型コロナウイルスの感染状況次第であり、まだ不透明感が強いものの、目先、リラ相場は小康状態と見込まれます。
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