南アフリカの金融政策(5月)~今後の経済、市場展望
- 政策金利は0.5%引き下げの3.75%でした。景気、物価見通しの下方修正を受け、緩和を強化しました。
- GDP比10%程度の景気対策、段階的なロックダウン解除で、年後半には景気持ち直しが期待されます。
- リスク環境がやや改善し、ランド相場は持ち直しています。景気と感染症両にらみの状況が続きそうです。
今年の景気見通しはより厳しく
5月19-21日、南アフリカ(南ア)準備銀行(以下、中銀)は金融政策委員会(MPC)を開き、政策金利のレポ金利を0.5%引き下げ、3.75%としました。4月15日の緊急利下げ(5.25%→4.25%)も含めて4会合連続の利下げで、年初からの利下げ幅は2.75%に達しました。
毎回のMPCで発表している景気、物価見通しでは、4月の緊急会合からさらに修正され、2020年の実質GDP成長率は-6.1%から-7.0%、CPI上昇率も+3.6%から+3.4%と、いずれも下方修正でした。一方、2021年は、実質GDP成長率は+2.2%から+3.8%へ上方修正されました。中銀は、これらの見通しを踏まえ、年内さらに0.5%の利下げを想定しています。
南ア政府は4月22日、5000億ランド(約3兆円)の景気対策を発表しました。名目GDP比10%の大規模対策です。また、3月27日から続けていたロックダウン(都市封鎖)を5月1日から段階的に緩和し始め、年後半以降は、景気対策効果の発現もあり、景気持ち直しが期待されます。
リスク環境は改善も、もうしばらくは神経質な展開
南アランド(以下、ランド)相場は、4月下旬に対ドルで19ランド、対円で5.6円まで下落した後に持ち直しに転じ、現在は17.5ランド、6.1円となっています。欧米で、大規模な景気対策が打ち出されたのに続き、経済活動も再開され始めたため、リスク環境がやや改善したことが背景にあると見られます。
南アフリカの5月21日現在の新型コロナウイルス感染者数は1万8003人、死亡者数は339人(WHO〔世界保健機関〕発表)です。感染拡大のピークはまだ確認できていない状態です。ロックダウンを緩和したことによる感染再拡大の可能性に加え、これから冬季になるため、感染拡大がピークアウトするのか、まだ不透明です。ランド相場は、世界を覆ったコロナ禍への強い不安感がある程度後退したことで最悪期は脱したと見られます。それでも、景気対策効果と新型コロナウイルスの感染状況を両にらみで、もうしばらくは神経質に上下する展開となる公算が大きいと考えます。
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