英国経済動向と今後の見通し~2020年1-3月期GDPより
- 実質GDPは前期比年率-7.7%でした。個人消費と輸出入の減少が顕著で、在庫が積み上がりました。
- 政府は、6月からの経済活動再開を模索しており、7-9月期以降、徐々に景気は上向くと見込まれます。
- ポンド相場は方向感のない展開ですが、感染収束後の景気対策効果顕在化が下支えすると期待されます。
夏場以降回復へ?
5月13日に英国家統計局が発表した2020年1-3月期の実質GDPは、前期比年率-7.7%でした。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、3月23日以降、都市封鎖が実施され、それ以前の経済活動制限の影響もあり、大幅なマイナス成長に落ち込みました。リーマンショック時の2008年10-12月期(同-8.0%)以来のマイナス幅です。
主な需要項目の実質GDP成長率(前期比年率)に対する寄与度を見ると、最終消費(-6.2%)、純輸出(-7.2%)が大幅マイナスとなった一方、在庫投資が+6.3%でした。純輸出では輸出が前期比年率-36.6%、輸入が同-19.5%と急減しました。在庫の積み上がりは輸出の停滞に国内需要の鈍化が重なったためと見られます。
英政府は、6月以降、小学校や商店を皮切りに、経済活動を再開させようと動いています。4-6月期は、1-3月期よりも景気後退が深まる公算が大きいものの、7-9月期以降の景気は下げ止まりから徐々に回復に向かうと期待されます。
期待と不安が拮抗
英ポンド(以下、ポンド)相場は、コロナ禍の拡大による市場のリスク回避傾向から2月下旬から3月中旬にかけて急落した後、相次ぐ景気対策発表を受けて安心感から反発し、4月以降は小動きで推移しています。
一部の国で、経済活動再開が条件付きながら実施され、景気回復への期待が高まる一方、再開後の感染再拡大を懸念する向きもあり、市場は足元、方向をつかみにくい展開となっています。ポンド相場もその傾向に沿った動きです。英国の景気対策は、ブリューゲル(ブリュッセル欧州世界経済研究所)調べによると、直接的財政支出(いわゆる真水)が対名目GDP比4.5%、租税等の猶予が同1.4%、流動性支援・信用保証が同14.9%とかなりの大規模であり、事態が収束した後に、ポンド相場の下支え役になることが期待されます。
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