ユーロ圏の1月物価・12月雇用~為替相場展望

2020/02/04 <>
  1. 1月HICPは総合が前年同月比+1.4%、コアが同+1.1%でした。底堅いものの依然低位が続きます。
  2. 12月失業率は7.4%と約11年半ぶりの7%台前半です。周辺国の雇用環境改善が影響しています。
  3. 新型ウイルスの影響でユーロ相場は当面はもみ合いますが、年後半には上昇余地が出ると見ています。

雇用環境改善の裾野広がり、インフレ率をじわり押し上げ

Eurostat(EU統計局)が発表した1月のユーロ圏HICP(統合消費者物価指数)は、総合が前年同月比+1.4%(前月比+0.3)、コアが同+1.1%(同-0.2)でした。食品、エネルギーがやや強く、総合を押し上げた一方、コアは一部動きの大きい品目(外泊費、一部の旅客輸送サービス)の上昇鈍化が頭を抑えたと見られます。傾向的に底堅いものの、インフレ率は依然として低位が続きます。

また、12月の失業率は前月比-0.1ポイントの7.4%と、速報値ながら、2008年5月以来の7%台前半に低下しました。2019年後半の失業率の動きは、中心国がおおむね横ばいとなった一方、周辺国の低下が目立ちました。ドイツ、フランス、イタリアの3ヵ国総合の失業率は、2019年後半に6.4~6.5%で推移した一方、その他の16ヵ国総合は2019年6月の9.3%から8.8%へと低下しました。特に、スペイン、ギリシャといった失業率が10%を超える国での低下が目立ちました。

ユーロは年後半に上昇余地出る

ユーロ相場は2019年秋以降、対ドル、対円で持ち直してきました。しかし、年明け後、米・イランの軍事的緊張で、ドル高に転じました。さらに足元では、新型ウイルス対策が世界経済に与える影響について不透明感が強まったためめ、市場がリスクにより敏感となり、ユーロは下落しました。

当面はもみ合いの展開を余儀なくされるものの、年後半には新型ウイルス問題は収束に向かうと期待され、雇用、物価環境改善などの景気実態の改善が注目されやすくなると見込まれます。景気自体も金融緩和の効果で持ち直し、ユーロは上昇余地が出てくると考えます。

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