ズームイン・インディア~厳しい金融環境も徐々に改善-2020年の展望
2019年7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.5%と、6年半ぶりの低水準でした。景気減速は、世界的な流れの影響のほか、インド特有の事情もあります。その現状を踏まえて2020年を展望しました。
最悪期を脱しつつある“カネ詰まり”
インドの景気は1年半にわたって減速が続いています。これに対し、2月以降立て続けに利下げされた(6.5%→5.15%)ほか、自動車購入促進策、公共投資積み増し、法人税減税など、金融、財政両面で様々な景気対策が打たれましたが、今のところ目立った効果が表れていません。その背景として、金融機関の不良債権が積み上がり、貸出などの信用供与が滞っていることが挙げられます。金融機関の不良債権比率は、2018年3月に10.9%へ上昇しました。政府は国営銀行の統合と資本注入、ノンバンクへの経営介入などの対策を講じてきました。
金融機関等は依然、貸出には慎重ですが、不良債権比率は2019年3月時点で8.9%に低下し、成果も出てきています。先行きを楽観できる状態ではありませんが、中長期的には“カネ詰まり”の改善が期待されます。
各政策の効果が株式に追い風か
インド株式市場は堅調に推移しています。景気減速の中でも、企業の利益成長性に対する市場の高い期待が維持されているほか、9月に発表された法人税減税を好感する流れが続いています。SENSEX指数は足元、史上最高値近辺です。一方、インドルピー相場は、米中通商協議に対して神経質な反応が続き、弱い展開となっています。ただし、米国景気の先行き不安後退でリスク選好が高まり、9月以降は持ち直しています。
2020年は世界的に進められている金融緩和の効果が景気を次第に刺激し、インドもほぼ同様の流れになると予想されます。年明け後にはその兆候が表れ、金融環境も現時点よりも改善していくと見込まれます。米中関係等の政治リスクが引き続き波乱要因ですが、株価は景気実態の改善がけん引して堅調な展開、インドルピー相場は金利低下期待の後退で底堅い展開が期待されます。
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