ブラジル経済動向(2019年7-9月期GDP)~景気、市場展望
- 実質GDPは前年同期比+1.2%、前期比年率+2.5%と良好でした。個人消費がけん引役となりました。
- 年明け後は金融緩和の効果がさらに鮮明化すると見込まれ、景気回復がさらに進むと予想されます。
- 景気回復期待から株価が堅調な一方、レアルは政治要因に上昇を阻まれ、割安感が強いと見られます。
外需に不安残すも消費が堅調
12月3日、IGBE(ブラジル地理統計院)が発表した2019年7-9月期の実質GDPは、前年同期比+1.2%、前期比年率+2.5%でした。いずれも4-6月期から上昇し、景気が加速しました。
前年同期比に対する寄与度と4-6月期との比較を見ると、個人消費が+1.3%と、+1.2%からを小幅ながら上回り、全体のけん引役となりました。一方、固定資本投資は+0.5%と、+0.9%から低下しました。企業活動はまだ回復に乗り切れていない状況です。その一環として見られるのが輸出の不調です。寄与度は-0.8%と全体の足を引っ張りました(外需〔輸出-輸入〕では-1.1%)。中国、EU(欧州連合)向けに加え、関税同盟であるメルコスール(南米南部共同市場)の加盟国アルゼンチン、準加盟国のチリ、コロンビアがいずれも政治、経済両面で混乱しており、各国への輸出が落ち込んでいることも背景にあります。
それでも、金融緩和の効果などにより、ブラジル経済は景気回復がさらに進むと見込まれ、アムンディでは、2020年、2021年と実質GDP成長率は+1%後半に上昇すると予想しています。
レアルに割安感
ブラジル株式市場は好調で、ボベスパ指数は史上最高値近辺で推移しています。一方、ブラジルレアル(以下、レアル)は低迷しており、対円、対ドル共に史上最安値近辺に沈んでいます。
ここまで構造改革が順調に進展したものの、ボルソナロ大統領が与党の社会自由党を脱退して新党結成を表明し、政局不安が台頭していること、中南米の主要国(アルゼンチン、ベネズエラ、チリ、コロンビア)での政治、経済混乱、米中貿易摩擦の不透明感など、政治リスクが重くのしかかり、レアルは上昇を阻まれていると見られます。しかし、景気、株価との比較でレアルの割安感は強まっていると考えられます。
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