英国の金融政策について~景気、為替相場の行方
- 金融政策委員会(MPC)は政策金利を0.75%に据え置きました。委員2名が利下げを主張しました。
- 世界的な景気減速とEU離脱問題の混乱を反映し、景気、物価の見通し双方が下方修正されました。
- ポンド相場への金融政策の影響は限定的で、当面は総選挙を控えて神経質な展開が見込まれます。
景気下振れリスクをより強く警戒
イングランド銀行(英中央銀行、以下、BOE)は11月5-6日に金融政策委員会(MPC)を開き、政策金利を0.75%に据え置きました。景気の下振れを警戒し、9名のメンバーのうち、2名が0.25ポイントの利下げを主張しました。
また、同日BOEが発表した金融政策レポート※では、世界的な景気減速や、EU〔欧州連合〕離脱による経済の混乱を、前回のレポート(8月)よりも強く警戒しているようすがうかがわれました。8月と11月の予想が重なる2019年10-12月期~2022年7-9月期を比較すると、CPI(前年比)は平均で0.3ポイント、実質GDP成長率(同)は同じく0.4ポイント、いずれも下方修正されました。政策金利については、利下げの想定は変わらず、利上げに転じるタイミングも後ずれ(2022年まで利上げなし)が示唆されました。
まだ先行きが見通せない状況
ポンド相場は、10月は大きく上昇しました。世界の景気に対する下振れ懸念が幾分後退したのに加え、EU離脱の協定案が英国、EU間で合意に達したことが好感されました。しかし、英議会が早期の採決を拒否し、結局国民に信を問うべく、12月12日に総選挙が実施されることになりました。また、EUは、EU離脱の期限を、英国からの申請に基づき、2020年1月末まで延期することを承認しました。
総選挙の結果については不透明です。現時点の政党支持率では与党の保守党が優位を維持していますが、下院で過半数の議席を制する可能性はまだ五分五分といったところです。また、離脱に対する姿勢について保守党や、最大野党の労働党でさえ統一歩調がとれずにいる状況です。MPCの結果は低金利の長期化を示唆するもので、ポンドにはマイナス要因と見られます。しかし、現在は政治要因の影響が圧倒的に強く、影響は限定的と見られ、当面は総選挙の行方を探りながらの神経質な展開になると見込まれます。
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