ブラジルの金融政策(10月)~今後の市場展望
- 政策金利は5%に引き下げられました。低インフレと構造改革進展を受け、金融緩和が強化されました。
- 次回会合では追加利下げの可能性があります。インフレは引き続き安定が続くと予想されています。
- 構造改革進展が経済の成長性を高め、インフレ率を押し下げ、投資環境を改善すると期待されます。
年内追加利下げか
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、10月29-30日のCopom※で、政策金利のSELIC◇金利を5.5%から5%に引き下げました(全会一致)。7月30-31日の会合から3会合連続の利下げで、累積の利下げ幅は1.5ポイントに達し、過去最低を更新しました。インフレが安定していること、構造改革が進捗していることを受け、金融緩和を強化し、回復の兆しが出ている景気の後押しを目指します。
中銀は、2019年末の政策金利を4.5%、2020年はそのまま横ばいを想定しており、次回会合(12月10-11日)での追加利下げと、そこでの利下げ打ち止めが示唆されています。一方、インフレ率については、2019年末が+3.4%、2020年末が+3.6%と低位で安定すると想定されています。利下げをしても、インフレがそれほど加速しないという想定の背景には、構造改革の進展が挙げられます。懸案であった年金改革は、10月22日に関連法案が上院で承認され、可決成立しました。今後は、さらに税制改革、国営企業改革が推進される方針であり、経済の効率化によるインフレ体質の改善が期待されます。
※Copom(Comitê de Política Monetária):金融政策委員会 ◇SELIC(Sistema Especial de Liquidação e Custódia):決済・預託特別システム
中長期的な投資環境は改善へ
レアル相場は、米中貿易摩擦再燃で8月に下落して以降、安値圏でもみ合っていました。しかし、景気持ち直しが幾分はっきりしてきたこと、米中協議の進展期待、年金改革法案成立などを受けて上昇傾向が強まり、約2カ月半ぶりに1レアル27円台を回復しています。
利下げは金利面でレアルの投資妙味を低下させますが、今般の局面では、むしろ景気回復傾向がより鮮明化し、投資資金流入が促されることの方がより重視されていると考えられます。また、構造改革進展が潜在的な経済成長力を高めるため、中長期的な投資環境の改善も期待でき、通貨、株価など、市場全般に追い風になりやすいと考えられます。
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