トルコの金融政策(10月)~リラ相場の行方は?
2019/10/25
<投資信託>
- 政策金利を2.5ポイント引き下げ14%としました。インフレの鈍化を受けて金融緩和を強化しました。
- 景気は引き続き脆弱ながら緩やかに回復しつつあり、利下げが回復ペースを速めると期待されます。
- 地政学的および内政リスクが懸案ですが、景気回復が続けば減退し、リラを下支えすると期待されます。
大幅利下げが景気回復を後押し
トルコ中央銀行(以下、中銀)は24日の金融政策委員会で、政策金利(1週間物レポ金利)を16.5%から14%へ2.5%引き下げました。3会合連続の利下げで、累計の利下げ幅は10%に達しました。9月CPIが前年同月比+9.3%と大幅に鈍化し、2017年7月以来2年2ヵ月ぶりのひとケタとなり、利下げ余地が拡大していました。中銀によるサーベイで、1年後のCPIは+11%程度となっており、インフレ期待とほぼ整合する金利水準に引き下げられたと見られます。
トルコ経済は、脆弱な部分を残しつつも回復の兆しがより鮮明化してきました。9月の製造業PMIは50.0と、2018年3月以来18ヵ月ぶりに景況感の好悪の境目へ回復しました。また、高金利政策による需要抑制で、経常収支は急速に改善し、8月は26億ドルの黒字となっています。7月の失業率が14.3%と過去最高を更新し、雇用環境は厳しいものの、企業活動が回復してくれば、最悪期を脱してくると期待されます。大幅な利下げは、このような景気回復のペースを速めると期待されます。年内に追加利下げされる可能性はありますが、今後は小幅になっていくと見込まれます。
景気回復が覆う経済外リスク
トルコリラ(以下、リラ)相場はこのところ安定しており、1リラ18円後半を中心に小幅な値動きとなっています。最近では、トルコ軍が、シリア領内のクルド人勢力を攻撃するなと、一時、地政学的リスクが高まりましたが、現在は鎮静化しています。また、エルドアン大統領の強権的な姿勢が内政面のリスクですが、景気回復が続けば目立たなくなると考えられ、リラ相場の下支えになると期待されます。
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