6月の米国企業景況感~金融政策と市場への影響は?
- 米国企業の景況感は弱い傾向が続いています。新規受注が弱く、先行きを楽観しにくい状況です。
- 製造業の景況感後退が、徐々に非製造業の景況感を押し下げ、全般的に業況拡大が鈍化しています。
- 4-6月期は景気減速したと見られ、利下げの確度は高まっています。市場はそれを好感する流れです。
幅広い業種で業況拡大ペース鈍化
ISM(全米供給管理協会)が発表した6月の製造業PMIは前月比-0.4の51.7、非製造業NMIは同-1.8の55.1でした。いずれも50以上なので業況は拡大しているものの、勢いが鈍化しています。PMIの低下が先導し、NMIを押し下げる流れが見られます。
構成指数の動きでは製造業は生産指数が前月比+2.8と回復したものの、新規受注指数は-2.7と、生産の先行きは楽観できません。一方、非製造業は活動指数(生産指数に相当)、新規受注指数共に低下、雇用指数も低下と、内需の減速が見られ、良好な雇用環境にも影響を与えつつあります。
ISMは業種別の景況感を、製造業、非製造業それぞれ18業種ずつ、合わせて36業種で○(改善)、×(悪化)、△(不変)の3段階で発表しています。6月は28業種、前月比+1と幅広い業種で業況拡大が続いているものの、同時に幅広くその勢いが鈍っていることが推察されます。
利下げの確度高まる
アトランタ連銀発表のGDPNow(各経済指標から経済成長率〔前期比年率〕を推計)によると、2019年4-6月期の実質GDP成長率推計値は前期比年率+1.3%(7月3日時点)となっています。内需は個人消費が底堅いものの、設備投資の減速が予想され、外需からの押し上げ効果も、4-6月期は剥落すると予想されます。
市場では、景気減速に伴うインフレ圧力の低下を受け、年内に複数回利下げするとの見方が大勢となっています。今回のPMI、NMIの動きは、米国景気の減速が続いていることを改めて示したものと見られ、利下げの確度は高まりつつあります。市場はそれを好感し、NYダウが史上最高値を更新しました。足元の景気減速よりも、利下げによる先行き景気刺激を期待する金融相場の様相が当面続きそうです。
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