3月の米国雇用統計~金融政策の行方と景気後退リスク

2019/04/08 <>
  1. 3NFPは前月比+19.6万人と回復しました。賃金も底堅く、雇用・所得環境は良好さが保たれました。
  2. 景気ピークアウトへの警戒感はひとまず後退も、先行的指標に変調も見られ引き続き要注意でしょう。
  3. 金融当局は金融政策正常化を当分見送り、景気後退のリスクと時期はかなり後退したと考えます

まだ安心はできない

米労働省が発表した3月の雇用統計(速報)は、非農業部門雇用者数(NFP)は前月比+19.6万人と、2月の同+3.3万人(+2.0万人から上方修正)から持ち直しました。2月に大幅な鈍化が見られた業種(建設業、レジャーなど)を中心に持ち直しており、増勢鈍化傾向は連続しませんでした。ただし、雇用全体の動きに半年程度先行する傾向のある人材派遣業は同-0.5万人で弱含みでした。

民間企業時間当たり平均賃金(以下、賃金)は前年同月比+3.2%、前月比-0.2ポイントでした。+3%台は8ヵ月連続と堅調を維持し、個人消費を下支えすると見込まれます。全体的に、雇用、賃金の底堅さが保たれ、景気ピークアウトへの警戒感はひとまず後退しました。ただし、引き続き注意を要する状況です。

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良好な環境維持だけなら正常化停止続く

ドル・円相場、米株式相場は、金融当局が利上げ休止と連邦準備銀行(連銀)の総資産削減停止が現実化し始めた年末年始以降、景気先行き不安が後退し始め、堅調な展開です。

トランプ米大統領が、利下げを促す旨を発言をしたことは、金融当局の独立性の観点からさすがに問題でしょう。しかし、3月19-20日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、利上げ休止と10月以降の連銀総資産削減停止を発表したこともあり、余程の景気好転がない限り、少なくとも現在から向こう一年程度は金融政策正常化の再開が見送られると見込まれます。景気後退リスクはかなり後退し、ドル、株価を下支えすると考えます。

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