ブラジルの金融政策(3月)~金融政策スタンスとレアル相場の展望
- 政策金利は6.5%で据え置きでした。インフレ率が安定しており、景気重視の姿勢が維持されました。
- 19-20年は、インフレ率は目標圏内で安定し、景気回復に沿った緩やかな利上げが想定されています。
- 通貨レアルは、米利上げ休止がプラス要因ですが、政治の不透明感が残り、当面小動きと考えます。
中銀は安定した経済環境を想定
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、19-20日のCopom※で、政策金利のSELIC◇金利を6.5%に据え置きました(全会一致)。18年3月で利下げを打ち止めして以来、8会合連続の据え置きです。
インフレ率は、引き続き安定しています。2月のCPIは前年同月比+3.89%と、1月の同+3.78%からわずかに上昇しました。食料、エネルギーが上昇したことが影響しました。一方、基調を見るコア(食品・エネルギー除く、試算)は同+3.02%となり、1月の同+3.20%から低下しました。総合、コア共に、インフレ目標(+4.5±1.5%)の下半分(+3~4.5%)の範囲内にあります。中銀は19、20年のインフレ見通しを据え置きました。景気は回復しているとはいえ、勢いはまだ強いとはいえず、様子見姿勢を続けます
また、中銀は、19年、20年の年末の政策金利をそれぞれ6.5%、7.75%と想定、20年の予想を0.25%引き下げました。ボルソナロ政権による構造改革の行方を見守る姿勢で、どちらかといえば、改革頓挫によってインフレ圧力が高まる方向を警戒してますが、年金改革や規制緩和などが進展すれば、逆にブラジル経済の効率性が高まり、インフレ圧力がさらに低下することも考えられます。当面は、世界的に景気が減速している足元の情勢を踏まえ、引き締め姿勢を後退させた形です。
下値不安が小さい中、方向見極めの展開
レアル相場はこのところ小動きです。米利上げが休止となり、レアル安につながる大きな要因が剥落したことで、下値不安は後退しています。インフレが安定していることもレアル高要因です。
一方、構造改革の行方など政治面の先行き不透明感が払拭されたわけではなく、方向性を見出しにくい状況です。当面は各種要因を見極めながら、適当な相場水準を探る展開になると考えます。
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