中国人民元の切り下げ
今週の国内株市場はやや荒っぽい動きになっています。日経平均は先週からの戻り基調の流れが継続し、火曜日(11日)には一時6月につけた年初来高値(20,952円)に迫る場面もありましたが、その後は急変して大きく下落する動きに転じました。相場のムードが大きく変わったきっかけは中国当局が突如として通貨(人民元)の切り下げを発表した事です。
もっとも、国内がお盆休みで参加者が少ない事や、週末のオプション・mini先物取引のSQを控えた思惑などもあり、値動きの振れ幅が大きくなった可能性もありますが、以前より中国の景気減速が警戒されていた中で、突然のタイミングでの通貨切り下げはインパクトがあったようです。
中国の為替市場では2005年より、「その日の基準値から±2%の変動幅で動く」ようになっているのですが、この基準値を連日に渡って大きく切り下げたのが今回の中国当局の措置です。具体的には8月10日の基準値(1米ドル=6.116人民元)から、11日(同6.229人民元)、12日(同6.330人民元)、13日(同6.401人民元)へと短期間で4%以上も人民元安が進みました。
通貨の切り下げによって、理屈上は中国製品の輸出競争力が高まることになるため、中国と競合関係にあるセクターの銘柄が売られたりしました。実際に、今回の通貨切り下げの意図を「輸出競争力を強化するためでないか?」と指摘する声も多くありますが、中国の当局は「基準値と市場価格との乖離を修正するため」としています。
また、人民元安が進むと中国人にとっての海外旅行や買い物が不利になることが懸念され、インバウンド関連銘柄も大きく売られました。確かに足元では人民元安が進んでいますが、実は13日(木)の基準値は2011年の年間平均(1米ドル=6.46人民元)の水準です。また、過去に遡ってリーマンショック前(7人民元)や、現在の為替制度が始まった2005年当時(8.19人民元)に比べると、騒ぐほど人民元安が進んでいない事がわかります。そのため、今すぐに中国の輸出が持ち直したり、インバウンド消費が減少するなどの状況は現れにくいと考えられます。
ですので、中国の通貨の切り下げに端を発した相場の下落は、不安先行によるものが大きいと思われ、状況は割と早く落ち着きそうです。ただし、中国に対する懸念が後退した訳ではないので、今後も中国発の相場の不安定材料が提供される可能性には注意が必要です。
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