「想定シナリオ」の見直し?

2015/05/07

GWの連休が明けた5月7日(木)の取引ですが、日経平均は軟調なスタートとなりました。連休前(4月30日(木))に前日比530円超の下落を見せていた日経平均ですが、「休暇を挟んでリフレッシュ」というわけにはいかなかったようです。

今週は2営業日しかなく、しかも、翌8日(金)は日経225オプション・mini先物取引のSQ日であるほか、その夜には米国で4月雇用統計の発表が控えていることもあって動きづらい状況です。実際に、7日午前中の取引はオプション取引の売買が集まりやすい権利行使価格19,500円と19,250円のレンジを意識したもみ合いになりました。

4月終盤から5月のあたまにかけての日経平均が弱い動きとなっていることもあって、今後、「セル・イン・メイ(5月に売り)」というキーワードが頻繁に登場しそうな雰囲気ですが、確かにあと1カ月も経てば2015年も折り返し地点に差し掛かるタイミングですし、ぼちぼち年初に描いた「想定シナリオ」が見直される時期でもあります。

国内外の景況感や企業業績の見通しなど、すでに織り込んだ材料について、現実とのギャップを修正しつつ値固めしていく動きが想定されますが、事実、30日の日経平均が大幅下落となった要因のひとつに米1-3月期のGDP速報値が良くなかったことが挙げられます。具体的には、季節調整済みの年率換算で前期比+0.2%という結果でしたが、予想(+1.0%)に届かず、前回(2014年10-12月期)の+2.2%から大きく減速しました。

今のところ、天候不良や労使交渉をめぐる港湾ストなどの一時的要因で減速しているという見方が大勢ではあるものの、年初の時点では、米国GDP成長率は+3%台もという見通しもあったため、かなり「思っていたのとは違う」状況になっています。仮に、一時的とされる減速が長引いてしまった場合、「好調な米国景気」を前提とした国内企業の業績見通しへの影響も少なからず出てくる可能性もありそうです。

また、国内の経済指標に目を向けても、3月の実質賃金が23カ月連続、同じく3月の実質消費支出(全世帯)も12カ月連続のマイナスになっているなど、5月1日に発表された3月の消費関連指標が弱く、消費がGDPの約6割を占めている国内景気に対して多少の不安が残ります。そのため、足元ではマクロ面による株価の上値トライの材料がやや力不足の感があり、下値の方が意識されやすい地合いとなりそうですが、折に触れて4月下旬に見られたような、日銀の追加緩和への思惑が相場を動意づかせる展開も想定されます。

とはいえ、これまでの国内株市場の上昇を振り返ると、金融緩和を中心に上昇してきた中国や欧州株市場とは異なり、金融相場をベースにしながらも業績相場の要素が比較的反映されながら上昇してきた面があり、株価自体は行過ぎた上昇にはなっておらず、調整が一巡した後は、比較的買いが入りやすくなると思われます。

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楽天証券経済研究所 土信田 雅之が、マクロの視点で国内外の市況を解説。着目すべきチャートの動きや経済イベントなど、さまざまな観点からマーケットを分析いたします。
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