相場上昇の勢い

今週の日経平均は力強い動きを見せています。週初となる月曜日(2月16日)には終値ベースで7年7カ月ぶりとなる18,000円台に乗せ、木曜日(19日)には、取引開始後から間もなくして18,300円台に乗せる場面がありました。これは、第1次安倍内閣時の高値である18,261円(2007年7月9日)を超えたことになります。

次の大きな節目となるのは、いわゆる「ITバブル」時の2000年4月につけた20,833円です。今年の日経平均の高値は20,000円を超えるという予想が多く、十分に射程圏内に入ってきていると思われますし、「新たな上昇局面に入ってきた」と指摘する声もあるようです。

その一方で、東証1部銘柄の「騰落レシオ(25日移動平均)」では、相場が過熱しているとされる120%を足元で超えているほか、最近の上昇ピッチの速さから、短期の調整が警戒されています。また、円とドルの違いはありますが、日経平均と米NYダウ平均の絶対値の比較をした場合、日経平均がNYダウを上回る場面は長く続かない傾向があることも調整を警戒する要因になっているようです。

また、ギリシャ支援をめぐる交渉やの行方や停戦合意が揺らぐウクライナ情勢、足元で冴えない経済指標が増え始めてきた米国市場など、海外に目を配ると不透明感が強い中で日本株の堅調さが目立っており、さらなる株価の上昇とそれを持続させていくには「敢えて日本株を買う」材料やモチベーションが必要になってきます。

今週の国内のイベントを振り返って見ますと、日経平均が終値で18,000円台に乗せた月曜日の取引開始前に、2014年10-12月期の国内GDPが公表されました。実質GDPの成長率は、前期比で+0.6%、年率換算で+2.2%という結果でした。市場の予想(前期比+0.9%、年率換算+3.7%)には届かなかったものの、3四半期ぶりにプラス転換したほか、火~水曜日にかけて開催された日銀の金融政策決定会合では、輸出と生産の基調判断が上方修正されており、昨年4月の消費増税による影響が一巡し、国内景気の復調を印象付けるような格好となっています。

とはいえ、実際の国内景気の復調を見極めるにはもう少し慎重になる必要があるかもしれません。今回のGDP公表では、2014年通年の実質GDP成長率は+0.0%と、ほぼゼロ成長でした。ちなみに名目GDPは+1.7%でしたが、これは物価が上昇したことによって実質成長率の方が低くなったことを意味します。これまではデフレで物価が下がっていたため、名目よりも実質の方が高くなる傾向が続いていました。さらに、名目GDPの総額(季節調整後)は約490兆円でしたが、2007年7-9月期は約512兆円でしたので、日経平均は7年前の水準を超えたものの、GDPの規模は当時よりも縮小しています。

著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、このGDP総額と株式市場の時価総額との比較を参考にしていると言われています。要は「GDP総額よりも株式市場の時価総額が高いと割高」とざっくり判断するわけですが、水曜日(18日)取引終了時の東証1部の時価総額は532兆円ですから、GDP総額を超えており、少なくとも割安ではないことが分かります。そのため、現在の日経平均を正当化するには、日本の景気拡大は欠かせず、結局はアベノミクス「3本目の矢」にかかっていると言えそうです。

 

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