相場の連動性
今週の日経平均ですが、米国株市場が連日で下落する展開が目立つ中でも比較的力強い動きを見せています。国内でも本格化した企業決算への期待などが相場を支えている格好です。
単位がドルと円の違いがあるにせよ、日経平均(28日の終値17,795円)がNYダウ(同17,191ドル)を超えていますが、過去において、こうした局面が長く続かないことや、東証1部の時価総額(519兆円)が国内名目GDP額(484兆円)を上回る状況が続いていることなど、ここからが本当の相場の強さが試される局面に入ったと言え、日経平均18,000円から先を買っていくシナリオや手掛かりが欲しいところです。
また、量的緩和が決定されたECB理事会後の欧州株市場も軒並み上昇基調となっています。とりわけ独DAX指数は連日で最高値を更新し、足元も最高値圏を維持しています。量的緩和に最後まで渋い顔だったドイツの株価指数が結果的にいちばん良いパフォーマンスを見せていることになっていますが、2回にわたる「黒田バズーカ」で株価水準が押し上げられた日本株と同様に、欧州でも金融相場の様相を見せています。
一方で、足元で軟調な動きなのが米国株市場です。今週は米国でFOMCが開催されましたが、その声明文では「相当な期間」の文言が削除され、利上げを含めた出口戦略への準備と機会を想定していると受け止められたほか、企業決算も、J&Jやキャタピラ、P&Gなど、グローバル企業を中心に冴えないものが多く、原油安やドル高のデメリットの影響が意識され始めています。
日本国内の主力企業の決算はこれまでのところ、全体的には良好といえますが、足元の業績上振れを好感したあと、次(2016年3月期)の業績見通しに視点が移ります。今後、「米国経済は大丈夫」という前提に影を伸ばすような材料が増えてくれば、日本株もさらなる企業業績を背景とした上値追いが難しくなります。こうした不安要素もあってか、直近で内需ディフェンシブ銘柄の物色が目立っていたのも、「こんな状況下でも買える銘柄」として選択された面がありそうです。
また、量的緩和インパクトで株価が上昇している欧州も、選挙後に誕生したギリシャ新政権とトロイカとの債務をめぐる交渉はこれから開始され、時間が掛かることが想定されますし、ロシアとウクライナの地政学的リスク浮上の可能性もあります。西側諸国の対ロシアへの追加経済制裁が検討されはじめたほか、格付け会社のS&Pが今週、ロシアを投機的等級の「BB+」に引き下げています。
足元の各国株式市場はバラバラに動いている格好ですが、「リスクオフ」を共通項に再び軟調となる展開には注意が必要になりそうです。
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