すららネット<3998> AIを活用した技術力と導入校に対する課題解決力で利用者を拡大

2018/01/10

学習塾・学校法人向けに対話型eラーニング学習教材「すらら」を提供
AIを活用した技術力と導入校に対する課題解決力で利用者を拡大

業種:情報・通信業
アナリスト:木村一徳

◆ eラーニングによる教育システムの提供
・すららネット(以下、同社)は小学校低学年から高校生を対象としたeラーニング注1学習教材「すらら」の提供を主要事業としている。

同社は独自開発した対話型アニメーション教材で、生徒を飽きさせず、学習意欲を促進する仕組みを作っており、従来は対象外として捉えられていた学力や意欲の低い生徒を含んだ広い利用者層を獲得している(図表1)。

スモールステップ注2によるゼロベース理解と先生役のキャラクターが随所で
問いかけるインタラクティブ注3な授業が特徴のレクチャー機能と難易度コント
ロール、「つまずき診断」などにより、理解したことを定着させるドリル機能が
セットになっている。これにより、生徒の学力に応じて学習することを可能に
している。また、「すらら」は生徒のログインや進捗状況をリアルタイムでモニ
ターすることができ、導入先の先生が保護者に毎日報告することも可能にし
ている。具体的には図表2 に示された機能を持っている。

◆すららネットの事業モデル
・同社の事業モデルは学習塾・学校法人向けのBtoBtoC の事業モデルと個
人学習者向けのBtoC の事業モデルに分かれる(図表3)。

学習塾・学校法人向けは、導入校に対して「すらら」を利用するための「先生
ID」を発行し導入校は生徒に「生徒ID」を発行する(BtoBtoC)。導入校は
「すらら」の各機能を使って、生徒に対する受講フォローを行うことにより、生
徒の学習レベルを高めるとともに人件費や管理コストを抑制することが可能
になる。

個人学習者向けのBtoC モデルでは、個人学習者に対して「生徒ID」を発
行する。ID を持つ生徒に対しては業務提携塾の先生からの受講フォローが
行われ、業務提携塾の先生には受講フォロー業務委託料が支払われる。

BtoBtoC モデルで同社の受け取る対価は、学習塾に対しては1 校舎につき
課金する月額サービス利用料と導入校が登録した「生徒ID」ひとつに応じ
て課金する月額ID 利用料から成る。学校法人に対しては、契約時の初期
導入料と「生徒ID」ひとつにつき課金する月額ID 利用料を受け取るが、一

定のID 数までは1 校舎につき固定額の利用料金を支払うことで利用でき、
一定数を超えると追加でID 利用料を請求する形態である。BtoC モデルは
「生徒ID」ひとつに対して課金する月額ID 利用料が収益源になる。

また同社では「すらら」導入の学習塾を対象に経営支援、独立開業支援を
行いサービス拡大の手法としている。導入校数、ID 数は継続して増加して
おり、17 年9 月末時点において693 校が導入、売上構成比としては、学習
塾向けが66.0%、学校(主に私立中高)向けが29.8%、個人向け(BtoC)や
海外向けで4.2%となっている(図表4)。
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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。