カナミックネットワーク<3939> 地域の介護・医療の情報共有プラットフォームの強みはこれから発揮される
介護・医療の分野に特化したクラウドサービスを展開する会社
地域の介護・医療の情報共有プラットフォームの強みはこれから発揮される
業種:情報・通信
アナリスト:藤野敬太
1.会社概要
・カナミックネットワーク(以下、同社)は、介護・医療の社会保障分野に特 化してクラウドサービスを展開する会社である。
・地域全体の情報共有プラットフォームと事業者向け業務支援システムの 二層構造になっていることが同社のクラウドサービスの特徴である。
2.財務面の分析
・12/9 期~16/9 期まで、有料ユーザーの増加に伴い、売上高は 25.7%、 経常利益は 203.1%の年平均成長率で増収増益を続けてきた。
・介護事業者や医療機関向けに特化してソリューションを提供する上場企 業と比較すると、同社の規模ははるかに小さいが、収益性、成長性、安 全性の財務指標は、総じて他社を上回っている。クラウドサービスという ストックビジネスモデルにおいてユーザー数が順調に増加していることが 強固な財務指標に反映されていると言えよう。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、関係資本に属する「行政との関係」や「産学 連携」にある。プロジェクトへの参画で得られた現場レベルの実践的な知 見やノウハウは組織資本に蓄積され、クラウドサービスがブラッシュアップ され、収益を生むストックビジネスモデルの確立につながった。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、既存のクラウドサービスのシェアの拡大、国の戦 略の近いところにいるポジションの維持、増員と人材育成が挙げられる。
・同社は、ユーザーの増加による既存事業の拡大、広告価値の拡大、IoT 機器との連携や医療介護分野のビッグデータ解析等の新規事業の立ち 上げを成長戦略としている。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、同社を単なる介護事業者向け業務ソフトシ ェアの会社と捉えるのではなく、蓄積された知見やノウハウをクラウドシス テムに付加して提供している企業と捉えるべきと考えている。
・クラウドシステムによる業績牽引が続こうが、ストックビジネであるため、こ の部分で業績が悪化する可能性は低いと思われる。新規事業やシステ ムの大規模改変等、大きく費用をかける局面の有無に注目したい。