キャリア<6198> シニア層に特化してきた強みを背景に成長持続が見込まれる
シニア人材活用の業務コンサルティングの性格を持ち合わせる人材サービス会社
シニア層に特化してきた強みを背景に成長持続が見込まれる
業種:サービス業
アナリスト:藤野敬太
1.会社概要
・キャリア(以下、同社)は、シニア層に資する人材サービスを行う企業であ る。シニア層に就労機会を提供するシニアワーク事業と、介護施設に介 護士等の有資格者を提供するシニアケア事業の二本柱で展開する。
2.財務面の分析
・12/9 期~16/9 期は年平均 43.3%の 5 期連続の増収となった。13/9 期か らはシニアケア事業の売上高がシニアワーク事業を上回っている。同期 間、年平均 46.9%の経常増益となったが、営業拠点を全国各地に一気 に設置した 13/9 期に一度減益を経験した。
・事業の特徴に類似点がある人材サービス企業との比較では、売上高成 長率と総資産経常利益率に優位性がある。特に後者は、バランスシート に負荷をかけずに高い収益性を実現しているビジネスモデルであること を示していると考えられる。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、シニア層に関する人材サービスに事業領域 を絞り込んで展開してきた経営判断と、その選択と集中によって得られた 組織資本の充実にある。シニア人材の活用の事例といったノウハウの蓄 積、育成されたコンサルタント、全国展開のための拠点等の拡充により、 求人、求職者の両サイドの顧客を増やしていった。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題には、シニアワーク事業におけるシニア人材活用の啓蒙、 人材募集の効率化、他社との提携の経験の蓄積が挙げられよう。
・ライフワーク事業では、競争力の源泉となる案件事例の蓄積とコンサルタ ントの育成という「縦への展開」を、ライフケア事業では進出地域の拡大と いう「横への展開」をそれぞれ重視している。
5.アナリストの評価
・創業来のシニア層への強いこだわりがユニークなポジション構築とノウハ ウ蓄積につながり、同社の成長を支えてきたことを評価する。今後は市場 全体の拡大のためにも、同社の知名度向上が課題となろう。