平山<7781>16 年6 月期の業績急ブレーキで露呈した課題を克服できるかに注目

2016/05/31

「設備と敷地を持たない製造業」を標榜する、構内請負と派遣が中心の人材会社
16 年6 月期の業績急ブレーキで露呈した課題を克服できるかに注目

業種:精密機器
アナリスト:藤野敬太

1.会社概要
・平山(以下、同社)は、製造業向けの構内請負が事業の中心であり、「設備と敷地を持たない製造業」を標榜している。
・長年の実績から人材育成力には一日の長があり、「製造請負優良適正事業者認定制度」を第1号で取得した事業者である。

2.財務面の分析
・10/6期~15/6期は、売上高は年平均10.8%、経常利益は同17.6%の成長率で拡大してきた。この期間は5期連続増収だったが、12/6期は一部案件がうまく立ち上がらずに利益率を落とし、減益を経験した。
・他社との比較では、財務の安全性には優位性がある。一方、事業規模も小さく、収益性は特に優位にあるわけではない。

3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、四半世紀に及ぶ構内請負の経験で培われたノウハウや知見を、教育体制や従業員支援プログラム、生産現場の効率化等のプロセスとして展開している点にある。そのプロセスが機能することで、人材が輩出され、関係資本である顧客の拡大につながっている。

4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、定着率の改善と、請負案件での生産量の変動への対応があげられよう。
・従来通り、国内での人材の採用と育成の強化を行いつつ、外国人活用や東南アジアでの拡大を目指す方針である。16/6期にタイの現地企業から派遣事業を譲受するなど、海外展開積極化の姿勢を示している。

5.アナリストの評価
・自らを「人材輩出企業」と位置づける同社は、人材の質を向上させる施策に注力してきた。これらは短期的にはコスト先行となる。しかし、中期的には受注増や生産性上昇を通じて利益増につながるものであり、長期的な視点でそうした施策を継続してきた点は評価できる。
・16/6期の業績の急減速は、顧客企業の需要と同社の人材の供給の間でミスマッチが生じたことによるものと言える。今回露呈した課題をどのように乗り越えていくかに注目する。

  >>続きはこちら(2.30 MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

このページのトップへ