エムケイシステム<3910> 短期ではマイナンバー需要、中長期では一般企業向け市場の開拓が鍵を握る
社会保険労務士事務所向けの業務支援システムをASP 形態で提供する企業
短期ではマイナンバー需要、中長期では一般企業向け市場の開拓が鍵を握る
業種:情報・通信業
アナリスト:藤野敬太
1.会社概要
・エムケイシステム(以下、同社)は、社会保険労務士(以下、社労士)事務所等を主な顧客として、社会保険や労働保険、雇用保険における申請手続き業務を支援するシステムを、月額課金のクラウドサービスとして提供する企業である。
2.財務面の分析
・10/3期~15/3期は、売上高は年平均11.2%の成長率で拡大してきた。経常利益は12/3期に黒字転換し、その後の3年間は年平均68.7%の成長率で拡大してきた。
・他社との比較では、収益性の財務指標は総じて優位にある。成長性も他社より高いが、事業規模や成長ステージの違いによるところが大きく、参考程度にとどめておきたい。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、社労士が関与する社会保険や労働保険の分野の業務に関する知見やノウハウの蓄積と、ASPサービスとして展開したことにある。パッケージ販売からASPサービスへのビジネスモデル転換により、顧客という関係資本の蓄積につながっていった。
4.経営戦略の分析
・社労士市場では、システムのバージョンアップや次世代システムの開発のほか、マイナンバー制度に関係するソリューションを投入して、顧客拡大、シェア上昇を目指す。
・ほぼ未開拓に近い一般企業での社労士関連業務分野では、アライアンスの検討も含め、マーケティングの強化により、浸透を図っていく。
5.アナリストの評価
・社会保険労務士が関係する業務というニッチの分野で、ASP形態のサービスが確立できていることが、同社の最大の強みである。
・短期的にはマイナンバー需要の取り込みの動向が、中長期的には一般企業市場での浸透の度合いが成長を見る上での視点となろう。