ヤマシンフィルタ<6240> 建設機械業界を取り巻く厳しい環境をどう乗り越えるかが試される

2015/11/05

建設機械の油圧回路用フィルタのトップ企業
建設機械業界を取り巻く厳しい環境をどう乗り越えるかが試される

業種:機械
アナリスト:藤野敬太

1.会社概要
・ヤマシンフィルタ(以下、同社)は、建設機械の油圧回路に用いるフィルタの業界トップ企業で、国内シェア 70%を占める。日米欧の主要建機メーカーを主な顧客とする。

2.財務面の分析
・10/3 期~15/3 期は、売上高は年平均 13.9%、経常利益は同 36.9%の成長率で拡大してきた。13/3 期に経常赤字となったが、タイの洪水で生産拠点が被災した影響によるものである。
・他社との比較では、収益性については総じて優位にあるが、成長率は他社よりも低く、建機業界の外部環境の変動を受けやすいことを示唆している可能性がある。

3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、フィルタの中核部品(ろ材)までも自社開発する開発力にある。その開発力を背景に、多品種生産という建機メーカーの製品開発に対応し、同社のフィルタの採用率の上昇と、補給品でも収益を上げる体制の構築につながっていった。

4.経営戦略の分析
・既に高いシェアを持つ建機用フィルタは、中国でのエンドユーザーへの啓蒙活動による純正品使用率の上昇、米国建機メーカーへの拡販により、さらなるシェア上昇を目指している。
・さらに、油圧回路以外での建機用フィルタへの採用を目指す。特にエンジンオイルフィルタでの実績の蓄積により、建機以外の分野への拡大を目指していく。

5.アナリストの評価
・建機メーカーとの直接取引への販路集約と、高いシェアのため、どうしても建機業界の外部環境の影響を受けやすい。実際、16/3 期の会社計画は大幅に引き下げられた。
・外部環境に左右されにくい状況をつくりだせるかどうかが中長期での視点となる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。