ミーク(332A)帯域の有効活用で高い売上高利益率を確保
IoT/DX プラットフォームの提供と仮想移動体通信事業を展開
帯域の有効活用で高い売上高利益率を確保
業種:情報・通信業
アナリスト:髙木伸行
◆ IoTの可能性を広げるプラットフォーマー
ミーク(以下、同社)は、IoTサービス事業者及びDXを推進する企業向けにIoT/DXプラットフォーム「MEEQ(ミーク)」を提供している。また、MVNE注1事業者として、多くのMVNO注2事業者にネットワーク及び業務システム、業務支援等を提供している(図表1)。
MEEQを提供するIoT/DXプラットフォームサービスが24/3期の売上高の32.8%を、MVNO事業者向けのMVNEサービスが67.2%を占めた。
同社は19年3月に設立され、同年5月にソニーグループ(6758東証プライム)傘下のソニーネットワークコミュニケーションズからスマートフォン向け通信サービスを提供するMVNE事業を承継した。ソニーネットワークコミュニケーションズは、13年4月よりMVNE事業を行っていたが、従来のスマートフォン向けを中心としたMVNEサービスに加えて、IoT向け通信サービスへの需要が高まるなか、IoT通信領域での事業拡大を目指して、同社を設立した。
ソニーネットワークコミュニケーションズは、新規上場時点で同社の発行済株式数の29.4%を保有している。また、24/3期の同社売上高の34.9%を占めた。
◆ IoT/DXプラットフォームサービス
SIM注3を活用したSaaS型IoT/DXプラットフォームであるMEEQを提供している。MEEQはWeb上の画面から、簡単に1回線からSIMの購入・管理が可能となるサービスで、通信やデータ処理のノウハウ不足でIoTやDXの取組みを円滑に進められない企業向けに開発されたプラットフォームである。
MEEQを導入することで、多数の通信回線であっても管理が可能となり、ノーコードでIoTシステムの実現を可能にする。MEEQは、以下のような特徴により顧客の課題を解決したり、ニーズに対応している。
1) NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの各回線に接続対応しており、電波が届きにくいエリアでの通信に対応可能(楽天モバイルとは相互接続性試験まで完了)
2) SIM1枚、月額143円(税込)からの利用が可能で小規模プロジェクトにも対応
3) 閉域網注4の構築が可能で高セキュリティな通信環境を構築したいというニーズに対応
4) グローバルSIMにより、IoTサービスの海外に向けての展開も可能
5) 通信量・接続状況の確認にかかる工数を削減
6) 現場業務をデジタル化して円滑化することが可能
MEEQはタクシー配車アプリ、競走馬トラッキングシステム、作業員や高齢者などの見守りサービス、温度管理、ヘルスケアなど多種多様な場面で利用されている。21年3月にMEEQの提供を開始して以来、アカウント数は順調に拡大しており、24年末には7,696件、回線数は289千件に達している(図表2)。
◆ MVNE サービス
同社は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクといったMNO注5に対応したMVNE事業者として、MVNO事業者に対してSIM調達、事業者間精算の運用、サービス設計(ID卸・帯域卸)を提供している。また、新たにMVNO事業への参入を考えている先へのサービス提供も行っている。上述したキャリア3社全てとL2接続注6を行っている数少ないMVNE事業者である。
24/3期においては顧客企業の7割弱がNURO MobileやLEQUIOSmobileといったサービスを提供する通信事業者となっているが、ここ数年、MVNO事業を開始するまでは通信事業者ではなかった企業へのサービス提供が目立っている。例としては、外国人向けの通信サービスSmiles Connectやカブ&ピース(東京都港区)が提供するKABU&モバイルといった、それまでは通信事業を行っていなかった新規通信事業者向けの比率が足元では上昇している。
◆ 主要販売先と仕入先
同社の24/3期売上高に占める楽天モバイル及びソフトバンク(旧LINE モバイル)の割合は合計で25.0%であった(図表3)。これら特定2社への売上依存度は、両社がキャリア化したことにより新規取引がなくなったことと利用者の解約から、低下している。
また、ソニーネットワークコミュニケーションズのMVNO事業を支援していることからソニーネットワークコミュニケーションズ向けの売上高は、24/3期売上高の34.9%を占めた。
仕入面では、モバイルIoT支援事業を運営するにあたり、複数の携帯電話事業者からモバイル通信網を調達しているが、特にNTTドコモからの仕入が24/3期において7割以上を占めている。

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