アウトルックコンサルティング(5596)コンサルタントと販売代理店拡充による新規顧客開拓で成長目指す

2023/12/15

企業の予算管理等を効率化する経営管理システムSactonaを提供
コンサルタントと販売代理店拡充による新規顧客開拓で成長目指す

業種:情報・通信業
アナリスト:鎌田良彦

◆ 企業の予算管理等を効率化する経営管理システムSactonaを提供
アウトルックコンサルティング(以下、同社)は、企業の予算管理、予算編成、経費予算管理等の管理会計、経営管理業務を高度化、効率化するために、独自開発のクラウド対応型経営管理システム「Sactona(サクトナ)」の開発、販売、導入支援、保守、クラウドシステムのためのインフラストラクチャー提供を行うSactona事業を行っている。

同社はSactona事業の単一セグメントであるが、売上高はSactonaのライセンスを提供する「ベースビジネス」と、Sactonaの導入支援や機能拡張支援等を行う「コンサルティングビジネス」の2つのサービスに分類されている。23/3期の売上高構成比は、ベースビジネスが約35%、コンサルティングビジネスが約65%であった(図表1)。

◆ Sactonaの概要
Sactonaは、企業の業務で使われるMicrosoftのExcelに予算管理や経営管理に必要な機能を組み込んだもので、各拠点や事業部門でExcelに入力したデータが、リアルタイムにサーバのデータベースに反映され、データを利用する本社や管理部門では、それらのデータを集めて加工し、必要な情報として出力することができる。SactonaはSactona Portal、Sasctona Manager、Sactona Designerの3つのモジュールから構成され、利用目的に応じてこれらを組み合わせて利用される(図表2)。

① Sactona Portal
Sactona Portalは各拠点や部門でデータ入力をする際に使用するモジュールである。ブラウザとExcelがインストールされていれば利用できる。入力された数値やコメントは自動的にサーバに取り込まれる。

② Sactona Manager
Sactona Managerは、入出力票の開発やポータルの管理を行うためのモジュールで、想定ユーザーは管理部門メンバーになる。セル単位でのレイアウト指定、組織等のマスタに連動したレイアウト、経費明細等のレイアウト等、利用部門のニーズに応じた柔軟な設計が可能となっている。

③ Sactona Designer
Sactona Designerは、データベース構造、マスタやロジック等の設定を行うためのモジュールで想定ユーザーは管理部門メンバー、情報システム部門メンバーになる。ユーザーのセキュリティ設定、パスワード管理、ユーザーの操作ログ閲覧等の機能もある。

Sactonaは会計システム等の企業の基幹システムとはCSV注1ファイルを通じて連携することができる。

◆ ベースビジネス
ベースビジネスの売上高は、Sactonaの利用ID数に応じた年間のライセンス利用料及びサーバへのSactonaインストールの初期費用からなる製品ライセンス収入と、顧客がクラウド環境でSactonaを利用する場合、同社が提供するクラウド環境のインフラストラクチャー利用料であるインフラサービス収入からなる。

Sactonaは顧客のサーバを利用するオンプレミスと、外部のデータセンターのサーバを利用するクラウドの双方に対応しているが、クラウドでの利用顧客が多い。オンプレミスとクラウドは、データの格納場所が異なるのみで、Sactonaとしての機能は同じで、ライセンス利用料も同一である。

顧客数は順調に増加しており、23年9月時点で129社に達している。解約社数は年間4社程度、解約率は23/3期で3.3%と低水準に留まっている(図表3)。

23/3期末の顧客121社の業種内訳は、製造業が41%、非製造業が59%と幅広い業種に分散している。企業規模別には年商1,000億円以上の企業が49%、従業員数1,000人以上の企業が65%を占める等、大企業での利用が多い。新規顧客獲得は、Web検索を通じた問い合わせ等、インバウンド経由が多い。

◆ コンサルティングビジネス
コンサルティングビジネスの売上高は、Sactonaの初期導入時における利用方法の提案・サポートやSactona上でのアプリケーション開発、Sactonaの機能・適用範囲拡張に関する提案やアプリケーション開発等への対価からなる。顧客のユーザーに対するトレーニング料等も含まれる。

コンサルティングビジネスは殆どが同社のコンサルタントを通じて行われている。コンサルタントは全社従業員の6割超を占め、22/3期にはコロナ禍の影響でコンサルタントが減少したが、それを除くと一貫して増加している(図表4)。

◆ ベースビジネス、コンサルティングビジネスとも直販が太宗を占める
販売代理店として、日立ソリューションズ(東京都品川区)、日本電気(6701東証プライム)、エル・ティー・エス(6560東証プライム)の3社があるが、23/3期の販売代理店経由の売上高比率は2.4%に留まっており、ベースビジネス、コンサルティングビジネスとも殆どが直販となっている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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