CaSy (9215) 家事代行のサービス提供プロセスをDX化するビジネスモデルが特徴
家事代行等の暮らし関連サービスのマッチング・プラットフォームを運営
家事代行のサービス提供プロセスをDX化するビジネスモデルが特徴
業種:サービス業
アナリスト:藤野敬太
1.会社概要
・CaSy(以下、同社)は、家事の代行をして欲しい人と、家事サービスを提供したい人をマッチングするプラットフォーム「CaSy」を提供している。
2.財務面の分析
・17/11期以降、サービスの利用増により年平均49.0%のペースで増収が続いた。利益面では、研究開発投資の増加で19/11期までは経常損失が拡大したが、20年の新型コロナウイルス禍発生以降、研究開発投資の抑制と費用削減で経常損失は縮小し、22/11期に黒字に転換した。
・ビジネスモデルが類似するスキルシェアサービスを提供する企業と比べ収益性指標は22/11期に利益を出した同社が優位にあるが、事業規模が小さい割に売上高の成長率が他社より低い点には留意が必要である。家事代行サービスの市場自体の成長性が相対的に低い可能性がある。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、家事代行サービスにおけるDX化のビジネスモデル(組織資本)と創業メンバー(人的資本)である。創業メンバーが作り上げた、サービス提供プロセスをDX化するビジネスモデルによって生じた余資をユーザー及びキャストに還元することで両者を増やし、片方の増加がもう片方の増加につながる自律的成長の好循環を描いている。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、サービスの安全性の向上、キャストの確保、サービス品質の維持・向上が挙げられる。
・同社は、「ユーザーの時間を創るプラットフォーム」の構築を成長戦略の根幹に置いている。その構築に向け、家事代行サービスの更なる拡大と、利用促進サービスの対象分野の追加を進めていくとしている。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、家事代行サービスの普及をDX化によって促進する同社のビジネスモデル及び戦略を評価している。一方、キャストの増加ペースが成長スピードを左右する状況にあり、短期的にはキャストの増加状況や解約率の動向、中長期的には家事代行の普及に寄与する可能性があるクラウドサービスの開発進捗に注目したい。