南海化学(4040) 環境リサイクルを第二の軸とすべく積極的な設備投資を行う方針

2023/04/27

苛性ソーダを中心とする基礎化学品メーカー
環境リサイクルを第二の軸とすべく積極的な設備投資を行う方針

業種:化学
アナリスト:藤野敬太

◆ 苛性ソーダを中心とする基礎化学品メーカー
南海化学(以下、同社)は、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)及び苛性ソーダ生成時に生じる併産物の応用品を取り扱う基礎化学品メーカーである。前身となる企業は1906年創業で、1939年に中山製鋼所(5408東証プライム)と合併、1951年に分離したが長く中山製鋼所のグループ企業だった。中山製鋼所が同社株式を売却する方針となったのを機に、13年にMBOにより独立した。

生産量で見ると苛性ソーダメーカーとしては中堅規模であり、小ロットながらニッチな領域の製品の展開を得意としている。また、基礎化学品に次ぐ第2の柱として環境リサイクルビジネスに積極的に打って出る方針を明確にしている。

同社の事業は、化学品事業、各種塩事業の2つの報告セグメントに分類される(図表1)。売上高では化学品事業が8割強を占め、営業利益でも化学品事業が大半を占めている。

また、製品区分別に見ると、化学品事業の基礎化学品が全体の売上高の約半分を占めている(図表2)。

◆ 化学品事業(1):基礎化学品
苛性ソーダ(NaOH)は、塩(NaCl)と水(H2O)を電気分解することで生成される。苛性ソーダの水溶液は強アルカリ性で、金属の溶解や精製、不純物の除去、漂白、中和等、幅広い用途で使われており、鉄鋼、製紙、化粧品、洗剤、化学工業等の業界に供給されている。一方、低単価のコモディティ製品であるため、顧客が調達する際のコストに占める輸送コストの割合が高くなってしまう。遠隔地への供給は輸送コストがかさむため、供給先は同社の工場がある関西地方が中心である。

電気分解で苛性ソーダを生成する際、併産物として水素と塩素が生じる。同社はこの併産される塩素や水素を活用した製品も取り扱っている。医療・食品向けに漂白、殺菌、中和用途に利用される合成塩酸や次亜塩素酸ソーダ、プール等に使う高度さらし粉に代表される塩素系殺菌・消毒剤、排水処理に使われる水処理凝集剤等がある。

◆ 化学品事業(2):機能化学品
主に食品メーカー向けに、食品の日持ち向上のために使われる酢酸ナトリウム等の食品添加物、健康食品の材料となるグルコサミンのほか、医薬や農薬、電子材料等に使われる中間体を取り扱っている。また、同社の製造技術を活用した受託製造業務も行っている。

◆ 化学品事業(3):アグリ
農薬の一種である土壌殺菌剤として使われるクロルピクリンを取り扱っている。クロルピクリンは液剤タイプと錠剤タイプとがあり、液剤タイプの方が主流だが、同社は、気化して刺激臭を発生させることが少ない錠剤タイプの普及を進めている。

◆ 化学品事業(4):環境リサイクル
石油精製業者等の廃硫酸供給業者から廃硫酸を引き取り、硫酸を精製し販売している。

◆ 各種塩事業
オーストラリアやメキシコから輸入した原塩(天日塩)を用途に合わせて加工して提供する事業で、連結子会社のエヌエムソルトが行っている。用途としては、和歌山県の梅干生産や、道路等の融雪に使われている。

◆ 生産拠点
化学品事業では、苛性ソーダをはじめとする基礎化学品は和歌山工場(和歌山県)、アグリの農薬は土佐工場(高知県)で生産されている。また、連結子会社のエヌシー環境の青岸工場(和歌山県)にて環境リサイクルが行われている。

各種塩事業では、エヌエムソルトの西浜工場(和歌山県)で、同社から仕入れた原塩の加工が行われている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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