コーチ・エィ(9339) 英語、中国語、タイ語にも対応し、グローバルでもサービスを展開

2022/12/27

従来のコーチングとは異なる、組織全体を開発するシステミック・コーチング™を提供
英語、中国語、タイ語にも対応し、グローバルでもサービスを展開

業種: サービス業
アナリスト: 髙木 伸行

◆  ビジネスコーチングを中心とした人材開発事業を展開
コーチ・エィ(以下、同社)は「システミック・コーチング™による組織開発ビジネス」と「コーチング人材育成ビジネス」から成るコーチング事業を行っている。海外展開にも積極的で、中国(上海)、タイ(バンコク)、米国(ニューヨーク)にそれぞれ事業子会社注1を持ち、英語、中国語、タイ語でコーチングを行うことができ、グローバルに展開している。

コーチングは研修、コンサルティング、カウンセリングと混同されがちだが、課題解決に向けてのアプローチは大きく異なる。研修は受講者が必要とする知識をインプットするものであり、コンサルティングはコンサルタントがクライアントにヒアリングした情報をもとに、目標を達成するための戦略、行動プランを策定し、クライアントに提供するものである。これに対してコーチングは、対話を通して、クライアント本人に目標を達成するための戦略を考えさせ、自分自身で答えを見つけることを促すアプローチである。コーチングの目的は未来に向けての「行動変容」を促すことにある。

従来からあるコーチングは、コーチが承認・傾聴・質問などのプロセスによりクライアントである個人に「気づき」をもたらし、「行動変容」のアイデアを引き出し、「自発的な行動」を促すアプローチであるのに対して、同社グループはそれらのアプローチを包含したうえで、組織全体に働きかけるシステミック・コーチング™を提供している。システミック・コーチング™は管理職や経営者のみを対象とするコーチングではなく組織全体の開発を目的とし、経営チームの一体化や組織内外のつながりの強化を通して組織全体の成長を支援していくアプローチである。。

システミック・コーチングTM の特徴
同社の実践するシステミック・コーチング™は、1)組織にどのような変化を起こすかを具体的な目標として定め、2)リーダーとその周囲のキーパーソンとの対話をベースにした関係性を重視し、3)組織の変化を客観的なデータによって明らかにし、4)顧客企業ごとにプロジェクトチームを組成し、一人だけではなく複数人に同時にコーチングを行うといったことを特徴としている。問題のある部分だけを修正するのではなく、全体に働きかけ、リーダー開発と組織開発は不可分として、両者を同時に開発することを基本としている。

◆ 提供サービス
同社グループのビジネスは「システミック・コーチング™による組織開発ビジネス」と「コーチング人材育成ビジネス」で構成され、エグゼクティブコーチング(EC)とDriving Corporate Dynamism(DCD)を中心とした「システミック・コーチング™による組織開発ビジネス」を主要事業としている。主なサービスは図表1に示したとおりである。

取引先は上場企業並びにその関係会社などが中心となっているが、コーチになるための学習プログラムであるCore Essential Program(CEP)とCore Essential Fast Track Program(CEFTP)は個人向けとなる。料金設定はエグゼクティブ・コーチング(EC)、Dialogue Activation for Innovative Business Execution(DAIBE)やDriving Corporate Dynamism(DCD)のように組織の変革を目指すサービスは1クールでの価格を設定し、その他は受講者1人当たりの価格設定となっている。

1)エグゼクティブ・コーチング(EC)
CEO、CFOや取締役といったトップマネジメント層を対象に、目指す組織変革や成長を促進するために同社のエグゼクティブ・コーチによる1対1のコーチングを提供するサービスである。

2)Dialogue Activation for Innovative Business Execution(DAIBE)
経営チームを対象とした対話型ワークショップとアセスメントによりトップマネジメントの実現したい経営チーム及び企業文化を創ることを支援するサービスである。1対1のコーチングを提供するECとは異なり、経営チーム全体を対象としたワークショップである。

3)Driving Corporate Dynamism(DCD)
主に組織のミドルマネジメント層を対象に1対1のコーチングセッション及びクラスコーチと複数参加者によるオンラインクラス形式のコーチング学習を通じて、組織変革に向けリーダーとして部下や周囲のキーパーソンのリーダーシップを開発し、自身のリーダーとしての資質をさらに洗練させてゆくことを可能にするサービスである。DCDサービスの特徴は、実践を繰り返す中で能力を開発してゆく「体験学習」というアプローチにあり、単に技法を教えるのではなく、学習者が実践を通じてコーチングを習得することを促している。

4)3分間コーチ
顧客企業の全社員を対象にWebアンケート、ワークショップ、フォローアップの3つのプロセスを通じて、参加者が企業内で対話を起こし、組織変革を加速させるサービスである。ワークショップで最大24名の参加者を2人から3人の組に分け、すぐに実践できる様々のコーチング・エクササイズを行なう。同サービスの特徴は知識のインプットではなく、人とコミュニケーションを交わし自分自身の考え方を変化させる「変容的学習」というアプローチにある。

5)コーチ・エィ アカデミア
組織に属するコーチングを学びたい個人を対象とし、コーチングスキル、コーチング理論、コーチングの活用方法などを身につけるプログラムである。1対1のコーチングセッションとオンラインクラスにより学習する。リーダー向けコースと上級のプレミアムコースに分かれている。プレミアムコースは国際コーチング連盟の基準を満たした、ACTP(Accredited Coach Training Program)と認定されている。

6)Core Essential Program(CEP)/Core Essential Fast Track Program(CEFTP)
CEP、CEFTPともプロのコーチを目指す個人を対象に、同社の米国子会社であるCOACH U, INC.が提供するコーチング学習サービスである。教材や授業は英語で実施し、クラストレーニングはオンライン形式で行われる。いずれのプログラムも国際コーチング連盟にACTPと認定されている。

CEPは約12カ月間にわたり、プロのコーチに必要なコーチングスキルを世界各国の受講者とともに学ぶ。一方CEFTPは6日間の実践型及び体験型のワークショップを中心に6カ月間程度でコーチングを学ぶプログラムである。

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資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。