エフ・コード<9211> 蓄積したデータを解析し、顧客の多様な課題に対応したDX施策を設計

2022/01/26

企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に関する様々なサービスを提供
蓄積したデータを解析し、顧客の多様な課題に対応したDX施策を設計

業種: サービス業
アナリスト: 佐々木 加奈

◆ 企業のDX推進をサポートするためのサービスを提供
エフ・コード(以下、同社)は、「マーケティングテクノロジーで世界を豊かに」をミッションとし、企業のDX注1推進をサポートするためのサービスを提供している。同社は、アジア地域での展開を視野に入れ16年1月にf-code(Thailand)Co.,Ltd.、同年12月にf-code(Hong Kong)Co.,Ltd.を子会社として設立したが、両社とも清算が終了しており、連結子会社はない。

同社は、06年3月にWebコンサルティング事業を目的として創業し、早くからCX注2の重要性に着目してマーケティングツールの開発を進めてきた。13年2月にSaaS注3型ソフトウェアであるエントリーフォーム最適化ツール「f-tra(エフトラ)EFO」、16年5月にWeb接客ツール「f-tra CTA」、同年12月にブラウザプッシュ通知注4ツール「f-tra Push」の提供を開始した。18年7月に各ツールが提供してきたサービスを統合・強化したWeb接客ツール「CODE Marketing Cloud」の提供を開始し、現在は「CODE Marketing Cloud」を主力として、その一部の機能のみを担う「f-tra EFO」の提供を行っている。

◆ 独自のCXデータ基盤に基づいてDX施策を設計
同社は、購買現場すなわち「生活者の目線」をCXのデータ解析により理解して、それに基づいて個々の企業のDX施策を設計することが重要と考えている。その考えのもと、創業時からコンサルタントが顧客の事業課題解決のためのデジタルマーケティングを立案し、蓄積してきたノウハウや、13年から提供するマーケティングツールによってEFO注5データやVOC注6データ、Web接客データといった多様なデータを解析し、顧客企業の課題に応じたDX施策の設計を行っている(図表1)同社がこれまでに蓄積したCX領域のデータは、累計1,000社分を超えている。

同社の事業は、CX 領域のデータ基盤を活用して企業のDX 推進をトータルで支援するDX 事業の単一セグメントであるが、売上高は提供するサービス内容に応じて、1)デジタル顧客獲得支援サービス、2)デジタル顧客育成支援サービスに区分されている。20/12 期の売上構成比は、デジタル顧客獲得支援サービスが50.9%、デジタル顧客育成支援が49.1%となっている。

1)デジタル顧客獲得支援サービス
同社のコンサルタントが、企業の顧客獲得のためのデジタル戦略の設計やデジタルマーケティング活動の改善などを支援するサービスである。具体的には顧客企業の属する市場の調査、CX 領域のデータ基盤を活用した同業他社の戦略分析及び顧客企業の戦略策定、戦略の実行を担う人材の育成などを行っている。また、全体的な戦略が決定した段階では、顧客のWeb サイトの集客力を向上させるためのコンテンツの企画・制作・分析・改善や、Web 媒体上での広告運用に関するコンサルティングなども行っている。

2)デジタル顧客育成支援サービス
「CODE Marketing Cloud」は、企業のWebサイトに来訪したユーザーに対して会員登録や買い物の履歴、訪問回数や訪問タイミング、滞在時間、サイト内遷移などの行動データをもとに最適なタイミングでポップアップバナーなどのコンテンツを自動提示し、一人ひとりに最適な接客や有効なプロモーションを提供することができるWeb接客ツールである。同社は、「CODE Marketing Cloud」を活用したサイトのUI/UX注7改善支援や、営業データの分析によるインサイドセールス注8の改善支援など、顧客が獲得した見込み客の成約率及び継続率を上昇させるための様々な支援を行っている。

◆ 収益構造
デジタル顧客獲得支援サービスの売上高は、同社のコンサルタントによるサービス提供に対して顧客企業が支払う代金で、案件数と単価で決まる。月額報酬を設定して継続的にサービスを提供する契約形態が大部分を占めている。

デジタル顧客育成支援サービスの売上高は、顧客企業が支払う「CODE Marketing Cloud」の月額利用料が大部分を占めている。「CODE Marketing Cloud」は、基本的には想定ページビュー数に応じた月額固定料金で、同社によると中小規模のサイトで月5万円から10万円程度、全体平均で月15万円弱程度の単価となっており、初期設定のサポートが必要な場合には、初期設定費用が発生する場合がある。

尚、顧客企業は同社の提供するサービスを一定期間以上継続的に利用する場合が多く、売上高に占める継続型売上(6カ月以上の継続業務発注のある取引先からの売上高)の割合は、約85%の水準となっている(21/12期第3四半期累計期間の実績)。

売上原価はエンジニア及びコンサルタントに係る労務費、外注費、サーバー費用等である。販売費及び一般管理費(以下、販管費)は、エンジニア及びコンサルタント以外の従業員や役員に係る人件費、弁護士・社労士等の外部の専門家に係る業務委託費などである。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。