セキュア<4264> 既存事業の深掘りと無人店舗システム等の新領域開拓で成長を目指す
監視カメラ等の機器と画像認識AIを組み合わせたセキュリティシステムを提供
既存事業の深掘りと無人店舗システム等の新領域開拓で成長を目指す
業種: 情報・通信業
アナリスト: 鎌田 良彦
◆ 法人向けに画像認識AIを活用したセキュリティシステムを提供
セキュア(以下、同社)は、同社と子会社1社からなり、「AI×セキュリティで新しい価値を創る」をビジョンに、監視カメラ等の機器と画像認識AIによる顔認証、人の行動分析、人検出、群衆解析等の技術を組み合わせたセキュリティシステムを、中小企業から大企業までの幅広い法人顧客に提供している。監視カメラ等の機器を仕入れ、自社開発したソフトウェアと組み合わせたシステムとして、主に販売パートナー会社経由で販売を行っている。
同社グループは、セキュリティソリューション事業の単一セグメントであるが、「SECURE AC(Access Control 入退室管理システム)」、「SECURE VS(Video Surveillance 監視カメラシステム)」、「SECURE Analytics(画像解析サービス)」という3つのサービスに分けて売上高を開示している(図表1)。
20/12期の売上高では、SECURE AC(売上高構成比30.3%)とSECURE VS(同67.6%)の両サービスで97.9%と太宗を占め、SECURE Analytics(同2.1%)の寄与は小さい。
韓国の子会社SECURE KOREA, Inc.は、20年3月に設立され、画像認識AIを活用したシステム等の開発を行っている。
◆ SECURE AC
SECURE ACは、カード認証、指紋認証、顔認証等を用いた、入退室管理システムである。同社は画像認識AIを使った顔認証技術に強みを持っており、売上高の3~4割は顔認証による入退室管理システムになっているようである。
用途は約8割がオフィス向けで、残りが工場等となっている。従業員数十人から数千人のオフィス等で利用され、最大100扉程度まで対応している。価格は1扉当たり50万円程度である。
入退室管理システムは、外部犯罪対策としての遮断の機能に加え、機密情報の社外持ち出し等の内部不正対策へのニーズが高まっており、顔認証やログの保存等、より高度なシステムが求められている。同社ではこうしたニーズにも対応している。
オンプレミス型、クラウド型によるSaaS注1形態の双方に対応しているが、20/12期までの売上は全てオンプレミス型だった。20年9月にクラウド型の「SECURE AI Office Base」をリリースし、今後はスモール企業向けを中心に拡販していく計画である。
SECURE AI Office Baseは顔認証による入退室システムで、マスク着用での顔認証が可能なほか、体温測定や勤怠管理等の機能も選択できる。リモートでの顔認証の事前登録が可能となっており、コロナ禍でのリモートワークの拡大等に対応した機能も備えている。顔認証ターミナル1台当たりの月額利用料は、機能に応じて1.0~2.2万円となっている。
◆ SECURE VS
SECURE VSは、約5割がドラッグストアやスーパーマーケット等の小売業向けで、残りは食品メーカー等の工場、データセンター等で利用されている。SECURE VSにおいても、画像認識AIを活用した顔認証システムを利用して、登録者と非登録者の識別による外部通知等の機能を提供できる。
カメラの台数は、数十台から千台超まで幅広く、価格はカメラ10~30台で100~300万円程度である。オンプレミス型、SaaS形態のクラウド型の双方に対応するが、クラウド型は少ないカメラ台数での利用が多く、売上高の数%に留まっている。
小売業では、万引き防止対策等に利用され、ロス率削減等の効果につながっている。
監視カメラとレコーダーは、韓国の世界的な監視カメラとレコーダーのメーカーであるIDIS 社の製品を主に使用している。
◆ SECURE Analytics
SECURE Analytics は、画像認識AI 専用のステレオカメラで、施設の入退場者、滞留人数を計測する客数情報解析アプリケーションや、施設の混雑具合を見える化するサービスをクラウド型のSaaS 形態で提供している。後者のサービスは、ニフティライフスタイル(4262 東証マザーズ)が運営する、日帰り温泉やスーパー銭湯等の温浴施設の情報提供を行う「ニフティ温泉」に登録している温浴施設で、混雑状況を5 段階のアイコンで表示したり、混雑状況を予測したりする際に利用されている。
◆ 販売は販売パートナー経由が9 割を占める
同社システムの累計導入社数は、21 年9 月末時点で6,398 社に達する。販売は21 年9 月時点で211 社の販売パートナー(代理店)経由の売上高が全体の約9 割を占めている。販売パートナーは、オフィスデザイン会社、警備会社。OA 機器販売会社等、企業のオフィス新設や移転等の情報を迅速につかむことができる業種の企業が多く、それぞれの顧客基盤を対象に同社の案件開拓を行っている。
主要販売先として開示されている、綜合警備保障(2331 東証一部)、JVC ケンウッド・公共産業システム(横浜市神奈川区)、CBC(東京都中央区)は主要販売パートナーであり、20/12 期では3 社向けの売上高が全売上高の48.3%を占めた(図表2)。また、20/12 期には販売パートナー上位5 社向けの売上高が、全売上高の54.2%を占めた。