アジアクエスト<4261> デジタル空間に仮想建設現場表示など建設業界で高く評価されている

2022/01/20

企業のDXを実現するためのコンサルティング含めたワンストップサービスを提供
デジタル空間に仮想建設現場表示など建設業界で高く評価されている

業種: 情報・通信業
アナリスト: 松尾 十作

◆ デジタルトランスフォーメーション事業を推進
アジアクエスト(以下、同社)は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現すべく、コンサルティングから、要望に基づくシステム開発、アプリケーション開発等などのソリューションまでを提供している。同社はAI(人工知能)、RPA(定型作業をロボットが代行及び自動化)、IoT、クラウド、Web、モバイル等、様々なデジタル技術を幅広く網羅しているため、コンサルティングでの提案は、デジタル技術を最適に組み合わせた内容となっている。

同社は、受託したシステム開発を請負で納品する場合と、顧客先にエンジニアを派遣してシステム開発をする場合があるが、派遣での売上高構成比は2割から3割と少ないようである。デジタルトランスフォーメーション事業の単一セグメントであり、サービス別等売上高の開示はない。同社グループは、同社と海外子会社2社(インドネシアとマレーシア)の3社で構成されており、19/12期から連結財務諸表を作成している。

同社は、Amazonが提供しているクラウドサービスであるAWS等のクラウド基盤の設計・構築・運用までをトータルに支援しているが、19年11月にはAWSのAPNアドバンスドコンサルティングパートナーとなった。AWSのパートナーはプレミア、アドバンスト、セレクト、レジスタードの4つがある。最上級はプレミアで、国内では11社が選定されているだけで、アドバンストはプレミアに次ぐランクである。

デジタル技術を組み合わせた同社のシステム開発事例では、大分件別府市に納品したシステムと鹿島建設(1812東証一部)から受注し納品した「デジタルツインシステム」が挙げられる。

◆ 大分県別府市の案件事例
大分県別府市に納品したシステムは、別府市によれば、対象業務における作業時間を81.3%縮減した。別府市は、19年6月に「BEPPU×デジタルファースト」を宣言し、市民サービスの向上並びに職員の事務負担の軽減を図るべく、デジタルの活用を進めている。同社が納品したRPA、AIと光学式文字読み取り装置であるOCRを組み合わせたシステムは、従来職員が手作業で実施していた帳票の読取り業務やデータ入力業務の自動化を実現したことで、業務時間を大幅に削減した。同社は業務自動化等の支援を今後も続けるとしている。

◆ 鹿島建設の案件事例
鹿島建設から受注したデジタルツインシステムとは、センサーや映像等の現実空間から得た様々なデータを、サイバー(仮想)空間において3次元で再現する技術である。仮想空間にリアルな世界を再現することから双子(ツイン)との表現が使われており、多様なデジタル技術を用いることでデジタルツインを実現している。

鹿島建設は、推進している「鹿島スマート生産」の下、日本で初めて建物建築での全てのフェーズをBIM=Building Information Modeling(建物を情報で形成する)によるデジタルツインを実現したと20年5月に公表した。このデジタルツインは、同社を核として鹿島建設とその子会社であるOne Team、マルティスープ(東京都千代田区)とが共同開発したリアルタイム現場管理システム「3D K-Field」を活用したものである。リモート管理とは、本プラットフォームにWebからアクセスし、画面上に3次元で再現された建設現場で、人・資機材の場所及び活動状況をリアルタイムで把握することである。建設現場外で管理できる利点から建築業務の効率化が図られ、かつ高品質な建築を支えている。

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