日本電解<5759> グローバル成長期待を有する電解銅箔メーカー

2021/07/15

電気自動車市場の中長期的な高成長、通信の5G時代の恩恵を享受
グローバル成長期待を有する電解銅箔メーカー

業種: 非鉄金属
アナリスト: 黒田 真路

◆ グローバル展開を図る電解銅箔メーカー
日本電解(以下、同社)は、他社に先駆けて高成長が見込まれる車載電池用銅箔へ注力すると同時に、競争が厳しい回路基板用銅箔においては、ハイエンド・高付加価値製品へ展開する電解銅箔メーカーの大手である。

電解銅箔とは、硫酸銅を主成分とする硫酸銅溶液を電気分解することで、金属銅を薄膜状に析出生成させたものである。厚さ8~12μmの銅箔で、用途によっては表面処理を行い、金属ロールの状態で出荷される。電解銅箔の用途としては、各種電気製品に組み込まれるプリント配線板や半導体パッケージ基板が代表的であるが、成長が著しいリチウムイオン二次電池にも電解銅箔が使用されている。

同社は電解銅箔製造事業の単一セグメントであるが、製品の用途別に「車載電池用銅箔」と「回路基板用銅箔」に売上高を区分している(図表1)。21/3期売上高の63.6%を車載電池用銅箔、36.4%を回路基板用銅箔事業が占めている。

◆ 車載電池用銅箔
車載電池用銅箔は、主に電気自動車やハイブリッド自動車に搭載されるリチウムイオン二次電池の負極部材として使用される。同社は生産する電解銅箔を車載用電池の部材メーカーに納入し、最終的には内外完成車メーカーへ販売される。

◆ 回路基板用銅箔
回路基板用銅箔は、携帯電話などの5G関連デバイスを含む各種電子機器に搭載される回路基板の電通素材として使用される。同社はハイエンド製品に特化しており、高機能電解銅箔を日米銅張積層板メーカーへ納入、最終的にはスマートフォンやパソコンメーカーなどへ販売される。

◆ 生産能力
現在、同社は月産1,100トン(国内750トン、米国350トン)の生産能力を有している。20年3月に買収したDenkai America Inc.(以下、DAI)は米国唯一の電解銅箔メーカーである。DAIは回路基板用銅箔を生産しているが、日本で培った高効率なプロセス技術を移植、回路基板用銅箔の生産効率の改善を図ると同時に、一部設備を車載電池用銅箔製造ラインへ改造、23年には米国での車載電池用銅箔の生産・販売を開始する計画である。また、需要動向や新規顧客の商談を見ながら、24~25年辺りには新工場を建設する予定である。20年代半ばには日米合わせた生産能力を現在の月産1,100トンから倍増する計画である。

>>続きはこちら(1.06 MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。