アルマード<4932> 22年3月期はOEM供給先への販売回復により増収増益に転じる見通し

2021/07/07

卵殻膜を主原料とした化粧品や健康食品を製造・販売
22年3月期はOEM供給先への販売回復により増収増益に転じる見通し

業種: 化学
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 卵殻膜原料を使用した化粧品や健康食品を製造・販売
アルマード(以下、同社)は、卵殻膜を主原料とした化粧品や健康食品(サ プリメント)の企画、製造、販売を行う会社である。卵殻膜は「天然の絆創膏」 と言われるように、昔から創傷治癒のために使用されてきた天然素材である。 美容や健康に役立つ素材として着目されてきたが、効果を科学的に立証す ることや、高品質な製品を安価で安定的に製造することが難しいことが課題 とされてきた。同社の創業者である長谷部由紀夫氏が、大学や他の企業と 共同で研究開発をしてきた結果、品質面やコスト面での課題を解決する独 自の卵殻膜原料の加工技術を開発し、卵殻膜を使用した化粧品や健康食 品を世に送り出してきた。

同社の事業は卵殻膜ヘルスケア事業の単一セグメントだが、売上高は、TV ショッピング販売(以下、TV 通販)、外部間接販売の卸販売(以下、外販 (一般流通))、外部間接販売の OEM 製品の販売(以下、外販(OEM 製 品))、自社直接販売(以下、直販(EC))、4 つの販売チャネルに区分されて いる(図表 1)。

TV 通販は、このチャネルで業績を伸ばした時期があり、現在でも 3 割近い 売上構成比を占めている。外販(OEM 製品)は、20/3 期には売上構成比が 4 割を超える販売チャネルであったが、OEM 供給先の動向に左右されやす く、21/3 期の売上高が前期比 55.2%減となったように、売上構成比の変動が 大きい販売チャネルとなっている。一方、直販(EC)が着実に拡販を続けて おり、売上構成比は 21/3 期の 37.7%まで順調に上昇し、最大の販売チャネ ルとなった。

◆ 製品化を阻んでいた課題を解決した独自の加工技術
可能性を秘めた素材でありながら、卵殻膜製品として流通させにくいという 課題を解決したのが、以下に挙げた同社独自の卵殻膜原料注の加工技術 である。

  1. 高品質の卵殻膜原料の製造技術(微粉砕技術及び加水分解技術)
  2. 卵殻膜原料を活用した食品加工、化粧品加工の技術

これらの一部は特許として出願しており、多くの卵殻膜関連特許を有してい る(国内において、21 年 5 月時点で、権利継続 15 件、出願中 8 件)。

◆ 仕入及び商品の製造
主原材料の卵殻膜は鶏卵由来のものであるが、同社は卵殻膜の仕入の大 部分をキユーピー(2809 東証一部)に依存している。仕入れた卵殻膜は、 外注加工先にて卵殻膜原料に加工される。その卵殻膜材料は、商品に応 じて定められた製造委託先に送られる。

◆ 販売チャネルに合わせた商品群
同社は、各販売チャネルの消費者の特性に合わせて商品を投入している (図表 2)。

◆ 販売チャネル(1):TV ショッピング販売(TV 通販)
TVショッピング専門チャンネル「QVCテレビショッピング」経由での販売であ り、「QVC テレビショッピング」を運営する QVC ジャパン(千葉県千葉市)が TV 通販の売上高のすべてを占めている(図表 1)。消費者から受注した数 量を同社が QVC ジャパンに納品し、QVC ジャパンが消費者に出荷する。 化粧品では「Ode シリーズ」、健康食品では全身美容サプリメント「TO-Ⅱ」が 主要商品である。

TV 通販では、放送枠をどれだけ確保できるかが重要となる。確保した放送 枠でどれだけ販売実績を伸ばせるかによって、次の期の放送枠の数と時間 帯が決まる。

◆ 販売チャネル(2):外部間接販売の卸販売(外販(一般流通))
ドラッグストア等の量販店、理美容室、他社通信販売業者への卸売販売で ある。健康食品の全身美容ドリンク「Ⅲ型ビューティードリンク」、「Ⅲ型サプリ メント」が主要商品である。

◆ 販売チャネル(3):外部間接販売の OEM 製品の販売
(外販(OEM 製品))
OEM 供給先からの注文に基づいて、製造委託先で商品を製造し、OEM 供 給先に販売する。消費者には、OEM 供給先のブランドとして販売される。商 品の仕様は共同で決定することがほとんどであるが、OEM 供給先での販売 戦略や販売動向が同社の売上高に影響を及ぼす。

外販(OEM 製品)の大半は、ベルーナ(9997 東証一部)の連結子会社であ る化粧品・サプリメント専門の通販会社のオージオ(東京都中央区)からのも のである(図表 1)。

◆ 販売チャネル(4):自社直接販売(直販(EC))
自社 EC サイトを通じて、消費者から直接注文を受け、同社が商品を配送す る販売である。化粧品の「CELLULA シリーズ」が主要商品である。特徴的 なのは、18 年 4 月に開始した定期購買サービスであり、順調に会員数を伸 ばし、21/3 期末の会員数は 37,829 人となっている(図表 3)。

>>続きはこちら(1.00 MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。